こんにちは、DX攻略部のラムネです。
Pardot(正式名称:Account Engagement)の初期設定の段階でよく発生する問題の1つとして、「適切に設定しているのにPardotがトラッキングを開始してくれない」というのがあります。
実際にDX攻略部でもSalesforceの導入や運用支援を行っておりますが、Pardotの初期設定やその後の運用がうまくいかずにDX攻略部へご相談いただくケースは比較的多かったりします。
今回この記事では、「Pardotの初期設定は完了しているが、正常にトラッキングしてくれない場合の原因とその解決策」をご紹介できればと思います。
Pardotが正常にトラッキングしている状態とは?
原因解説の前に、Pardotが正常にトラッキングしていた場合の「どのタイミングで、何ができるのか?」を簡単に整理しておきたいと思います。
下記は一例になりますが、現時点でPardotが正常にトラッキングできていない疑いがある場合の判断材料としてご活用ください。
- ユーザーがサイト訪問した段階でCookieにvisitor_idが付与される。
- ユーザーがフォーム送信した段階で管理画面上でユーザーのアクティビティを確認できる。
- ユーザーがメールを開いたタイミングで管理画面上でユーザーの閲覧履歴を確認できる。
- 一定の条件を満たすことでユーザーが閲覧した記事やサイト情報を履歴として確認できる。
Pardotのトラッキング機能によって、特別な設定を行わなずとも上記のようなことが可能になります。
逆に言えば、これらのことが現時点でできていない場合はトラッキングが正常に動作していない可能性があります。
ちなみに、Cookieの確認方法についてはEditThisCookieというChromeの拡張機能を利用することで簡単に確認することができます。
SalesforceのPadotが正常にトラッキングしてくれない!その原因とは?
SalesforceのPardorが正常にトラッキングされない原因は主に2つあります。
- Pardotの初期設定に不備がある
- トラッキングオプトインプリファレンス設定が意図しない設定になっている
原因その1:Pardotの初期設定に不備がある
1つ目の原因はPardotの初期設定に不備がある可能性です。
Pardotの初期設定時にドメイン設定や計測タグの埋め込みなどを行うかと思いますが、これら初期設定のどこかでミスをしている可能性をまずは疑いましょう。
この初期設定が原因の場合の症状として「全くトラッキングデータが取得・反映されない」といった状態が発生しているかと思いますので、ビジター画面から確認し、データが表示されるかを確認しましょう。
下記はデータが正常に管理画面へ反映されている場合のサンプル画面です。
もし全くデータが反映されていない場合は、初期設定の不備が原因である可能性が高いため、Pardotの初期設定マニュアルを再度見返しましょう。
原因その2:トラッキングオプトインプリファレンス機能が意図しない設定になっている
2つ目の原因はトラッキングオプトインプリファレンス機能が意図しない設定になっている可能性です。
トラッキングオプトインプリファレンス機能とは、サイトを閲覧した際に「データ取得にご協力ください。」といった案内が出るサイトがあるかと思いますが、まさにその設定です。
Pardotではトラッキングデータを取得する際の条件や同意画面を独自に設定できるのですが、デフォルトの設定では一定の条件を満たさないとvisitor_idが付与されずに、これが原因でトラッキングが正常に動作しないというわけです。
Pardotでvisitor_idが付与されない問題の解決方法
ここからはPardotでvisitor_idが付与されない問題(原因その2)の解決策をまとめていきます。
この問題には解決策が複数あり、トラッキングオプトインプリファレンス機能を解除する解決策とカスタマイズする解決策の2通りの解決策があります。
それぞれメリットとデメリットがあるためご自身の会社の都合に合わせて、解決策を選んでください。
解決策①:トラッキングオプトインプリファレンス機能を解除する方法
1つ目の解決策は、トラッキングオプトインプリファレンス機能を解除する方法です。
トラッキングオプトインプリファレンス機能はユーザーにCookieによる行動履歴の追跡(トラッキング)を行う許可を求める機能ですが、これを解除することでユーザーへ同意を求めるフローがなくなります。
つまり、ユーザーがサイトへ訪問してすぐにvisitor_idが付与され、トラッキングを開始できるようになるわけです。
設定を解除する方法については、「Account Engagement 設定>ドメイン管理>トラッキングオプトインプリファレンスの編集」から編集画面へ移動し、「ビジターが特定の国からアクセスした場合にオプトインを要求する」のチェックボックスを選択するだけでOKです。
これにより、選択された国以外ではユーザー同意を求めるフローがなくなり、訪問と同時にvisitor_idが付与されるようになります。
解決策②:トラッキングオプトインプリファレンス機能をカスタマイズする方法
2つ目の解決策は、トラッキングオプトインプリファレンス機能をカスタマイズする方法です。
通常設定ではトラッキングを開始するためのトリガーとして「ユーザーへの同意」があり、その同意を求めるためのモーダル(メッセージ)が表示されるはずなのですが、サイトのデザインによってはそのメッセージが表示されないケースがあります。
特にサイトのヘッダー要素をCSSのsiticyやfixed等で固定している場合は同意メッセージが要素に隠れてしまい表示されないケースがあります。
具体例として、デフォルト設定のままではヘッダー要素と被ってメッセージが見えません。
この場合の解決策は、「Account Engagement 設定>ドメイン管理>トラッキングオプトインプリファレンスの編集」から編集画面に移動し、CSSを変更することで解消されます。
具体的にはz-indexを指定したり、topの値を変更したりとCSSでの解決策はいくつかありますが、このあたりは御社のエンジニアと連携しながら進めることをおすすめします。
まとめ
本記事ではPardotが正常にトラッキングしてくれない場合の原因と解決策についてまとめてきました。
本記事のポイントは下記の通りです。
- トラッキングオプトインプリファレンス機能はめちゃくちゃ重要!
- 機能をOFFにすることでvisitor_idがすぐに付与されるようになる!
- CSSでユーザーへの同意案内のデザインをカスタマイズすることが可能!
Pardotは自社オウンドメディアでビジネスを行う上で非常に役立つツールです。
特に自社メディアで集客を行っている場合は、ユーザーの行動履歴を把握し、お問い合わせ時にユーザーが何に興味があるのかをわかった上で営業を開始することも可能になります。
これがどれだけすごいことかは営業を経験したことがある方であれば想像に固くないかと思います。
そんなユーザーの行動履歴を把握するという点で、今回このトラッキングされない問題で触れたトラッキングオプトインプリファレンス機能の設定はとても重要です。
機能をOFFにすれば今までよりも効率よく情報収集できることは間違いありませんし、ONにする場合でもCSSで同意案内のデザインを刷新することで、ユーザーが同意してくれる確率も向上します。
このように自社メディアの方針/都合に合わせて、トラッキングオプトインリファレンス機能の設定変更やカスタマイズを行うことをおすすめします。
今回の記事も一つの例ですが、Pardotを含めたSalesforceが提供するサービスはできることが多い分、自社で細かな設定や機能をすべて把握し活用できている会社は残念ながらほとんどいないのが現状だったりします。
ちなみに、Salesforceの導入支援や運用支援を専門に行っておこなっている弊社でさえ、日々新しい発見があったりするほどです。DX攻略部ではそんな現場で役立つDXノウハウをこのような形で定期的に発信しておりますので、興味がある方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。