こんにちは、DX攻略部のmukkukoです。
今回はSalesforce導入の際、どのような課題があるのか・どう解決していくべきなのかを解説していきます。
実際に筆者が導入設定時に感じた目標設定の大切さについて、また実際の業務改善事例なども挙げながら紹介します。
初期設定を乗り切れば、顧客管理が格段に楽になるツールですので、一つずつ確認していきましょう。
Salesforceとは?どんなシステム?
まず、Salesforceとはどんなシステムなのでしょうか?
数あるクラウドシステムの中で、Salesforceの特色やポイントを紹介していきます。
Salesforceについて
まず、Salesforceとはどのようなシステムなのでしょうか?
SalesforceのWebページ上では、「クラウドベースの顧客関係管理(CRM)ソフトウェア」と紹介されています。
それでは、Salesforceを利用することのメリットはどのようなものがあるのか、下記を一つずつ説明していきます。
『Salesforceを利用するメリット』
- 営業活動の管理・売上予測管理
- ワークフローとプロセスの自動化
- SFAとCRM
営業活動の管理・売上予測管理
Salesforceを利用すると、営業活動の管理や売上予測管理が可能になります。
取引先・取引先責任者・商談・契約を入力していくことで一元管理できるため活用してみてください。
また、商談をパイプライン・最前達成予測・達成予測・完了の4つのフェーズに分けることで、
各フェーズごとの売り上げ予測を期間別に確認することが可能になります。
ワークフローとプロセスの自動化
フロービルダーという機能を利用して、エンジニアでなくてもノーコードで業務効率化が可能になります。
具体的にできることは、以下の通り。
『フロービルダーでできること』
- レコードを一括で作成したり、更新できる
- ある条件下でメールを送信する
- 承認フローを組み込むことができる
- フォームからデータを収集してデータを自動入力できる
といったことが可能になります。
SFAとCRM
次に、Salesforceで実現できることに「SFAとCRM」があります。
それぞれについては以下の通りです。
分かりやすく言うと、リードとなる顧客を商談によって受注に繋げるまでの流れを支援することです。
こちらも分かりやすく言うと、受注後の顧客とのつながりや関係を把握して長期的な関係を支援することです。
SFAとCRMを一元管理できることで、マーケティングからフィールドセールス・カスタマーサクセスまで一つの線で繋がって業務を進めることができます。
Salesforceの得意分野と不得意分野を知る
Salesforceを導入すれば、ビジネスに関することは全て解決すると思われている方もいるかもしれません。
実は、Salesforceにも得意なこと・不得意なことがありますのでご注意ください。
『得意分野』
- リードマネジメント
- 商談管理
- 顧客管理
- 売上予測
『不得意分野』
- 入力の手間を省きたいニーズ
- 見積書や請求書作成など複雑な帳票作成
- 人事システムとして利用
標準機能では上記のものには対応はできず、良い方法としては現行の会計システムや人事システムと連携をすることをおすすめします。
Salesforce導入前の大事なポイント
続いて、Salesforceの導入前の大事なポイントを挙げていきます。
方向性をしっかりと決めて、皆でその方向へ向かっていくことが大切です。
目指す方向性を決めること
失敗例にありがちなことは、導入前にSalesforceでできることを検索して、あれもしたい、これもしたい、とやりたいことばかりが膨らむことです。
まずは、Salesforceを利用して実現したいことを絞ることをおすすめします。
Salesforceの標準でできることをまずは目標にする
最初からカスタムオブジェクトを使って、自社のスタイルに合うようにどんどんカスタマイズしていくのもおすすめしません。
筆者もはじめに経験したのですが、よく分からないままカスタムオブジェクトを設定すると、レポート機能にうまく反映されないトラブルも生じる可能性があります。
目標の例:筆者経験談
筆者が実際に導入をした際に目標として意識したことは以下の通りです。
- SFAとCRM管理を一元化して、管理者は全体指揮を取りやすくする
- 個人ベースでは顧客情報を共有、管理
- 他チームの状況共有
- レポート、ダッシュボードを活用した会議資料作成の手間削減
- 必須:個人管理になっているExcelベースでの管理をやめる
シンプルではありますが、まずは標準機能内で実現できることを実現する目標を立てるとよいでしょう。
また、SalesforceにはAI機能も搭載されています。その中で、Sales Cloud Einsteinは特に営業チームを支援するために開発されたAI(人工知能)プラットフォームです。
下記の記事でSales Cloud Einsteinについて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
こんにちは、DX攻略部のヘナトンです。 Salesforceは、ビジネス向けクラウドサービスのリーディングプロバイダーとして知られており、Sales Cloud Einsteinはその中でも特に営業チームを支援するために開発されたAI[…]
Salesforce導入後の初期設定の流れ
次に、導入後の初期設定の流れを説明していきます。
主な初期設定・オブジェクト設定ができればそこまでの苦労はなく利用開始できます。
環境設定を行う
まずは最初に環境に関する設定を行っていきます。
ユーザ登録
Salesforceユーザの情報を登録します。
この時、使い回しは不正利用になります。
また、個人の売上管理などもできなくなるので気をつけましょう。
会計年度の登録
会計年度を自社に合わせて設定します。
集計機能を使うときにこの設定が必要です。
オブジェクト設定を行う
オブジェクトとはデータを入れる箱のことです。
実際にセールス担当者はこのオブジェクトに入力作業を行っていきます。
項目 | 内容 |
取引先オブジェクト | 取引先の情報を入力する箇所 |
取引先責任者オブジェクト | 取引先の責任者情報 |
リードオブジェクト | リード(見込み顧客)情報を入れる箇所 商談・取引先・取引先責任者オブジェクトに連携 |
商談オブジェクト | 商談の情報を入れる箇所 商談をフェーズごとに管理可能 契約オブジェクトに連携 |
契約オブジェクト | 契約情報を入れる箇所 |
カスタムオブジェクト | 会社独自の項目がある場合に設定 |
名称違い程度であれば、項目名の編集で名称変更するのが無難です。
レポート・ダッシュボード設定を行う
新規作成から、必要とするレポートを作成します。
レポートに利用するオブジェクトを選択・アウトラインやグラフ設定を行います。
初期設定に困ったときには
初期設定で困ったときには、Salesforceのカスタマーサクセス担当に相談したり、はじめてガイドを活用するのもいいですね。
Salesforce設定時の課題とその解決策
ここでは、Salesforceを設定している際によく起こりがちな課題を実例を挙げて紹介していきます。
設定時の大前提から、トラブル例とその解決策を説明します。
設定時の大前提
設定時に大前提として意識することは以下です。
- システム担当に導入を丸投げしない
- 最初から完璧に作り込もうとしない
よくある失敗例は、実際に利用するわけではないシステム担当に任せて必須入力箇所が膨大になってしまう・現場との乖離が起きてしまうことです。
Salesforceは基本的にノーコードで設定できるシステムです。
システム担当に任せきりにするのではなく、関係者全員のシステム理解を進めることも重要です。
設定時のトラブル例
Salesforce設定時に起こるトラブルとその解決策を紹介します。
データ移行時のトラブル
データ移行にはインポートウィザードかデータローダーを利用します。
データローダーはより多くのデータをインポートできますが、重複確認機能がないなど機能に違いがあります。
また、csvが読み込まれない、必要な情報がインポートされないなどトラブルが起こることがあります。
- データの自動マッピングができていない項目がないか確認し、手動でもマッピングする
- 使用できない文字や記号を使っていないか確認する
- 取引先→取引先責任者の順でインポートする
- インポートする情報の取捨選択をする
ユーザ権限の適切な管理ができない
Salesforceにはプロファイル・権限セット・ロールと種類があり、誤って登録すると「見られるはずの人が見られない」「見てほしくない人に見えてしまう」といった問題が起こることがあります。
下記の項目をしっかり理解することが重要です。
- プロファイルとは…そのアカウントで「できること」と「できないこと」を決める
- 権限セットとは…プロファイルをまとめたもの。「作成と編集ができる」など複数のプロファイルをセットにできる
- ロールとは…「どの情報に対して」アクセスできるのか決める。階層設定も可能。
フローがうまく設定できない
社内の承認システムを移行したいけれども仕組みが複雑、という例が多いかと思います。
また、従来のワークフローやプロセスビルダーは廃止予定のため、今後はフローで作成をしていく必要があります。
- 画面フローから作成したフローをレコードページに設置しているか
- 「申請者が承認者を手動で選択する」としている場合、「次の承認者ID」を指定しているか
運用フェーズに乗せるために関係者で行うこと
次に、運用フェーズに乗せるためには、関係者の作業をそれぞれ明確化させることが重要です。
筆者の具体例を挙げながら説明します。
作業の明確化の具体例
筆者が経験した例は、営業に関する各チームの作業の明確化です。
よくある例であり、特殊なことは行いません。
マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスへと顧客を流すイメージです。
- マーケティングがリードとなりうる顧客の登録(リードの登録)
- インサイドセールスが商談化できるリードのフェーズを変える(取引開始フェーズへ移行まで)
- フィールドセールスが商談の状況を記載しながら契約フェーズへ移行する(商談内容の記載と、受注・失注、契約作成まで)
- カスタマーサクセスでサポートやアップセル商談、クロスセル商談を記載(契約・商談内容の記載と、受注・失注、契約作成まで)
シンプルではありますが、誰がどこまでフェーズを進めていくのかしっかり決めておく必要があります。
よくある失敗例は、システムが得意な営業サポートに入力を丸投げし、即時に対応できずに商機を逃す・誤ったフェーズに顧客が置かれてしまうことです。
担当者ひとりひとりが担当顧客を自分で入力するルールを徹底しましょう。
運用し始めてから行うこと
運用し始めてからも関係者で行うべきことがあります。
カスタムオブジェクトは運用が軌道に乗ってから考える
繰り返しになりますが、基本的にはまずは標準で進めます。
システム担当は必須の機能の要望が出た場合のみ検討した方がよいでしょう。
ひと月ごとに利用者側の意見を集めるミーティングを開催
実際に入力作業やレポート機能を使ってみて、入力必須箇所が多すぎるといった意見が出ることもあります。
入力側の意見も大事にしながら、カスタマイズを進めていきましょう。
商談フェーズの活用:筆者経験談
筆者自身が担当しており、Salesforceで実装した例をご紹介します。
ウェビナーの管理を任されていたのですが、どの顧客が今どの段階なのか(申し込みのみなのか、入金済みなのかなど)管理が大変だったので、契約フェーズの中でいくつか項目を作りました。
申し込み→請求書送付済→入金済→URL案内済→アンケートメール送付済
と流れを作り、セミナー契約のページ上でドラッグ&ドロップで顧客を動かせるようになりました。
営業サポートの方にも大変喜んでもらい、いい応用ができた例だと思っています。
軌道に乗ったら再確認・検討すべきこと
ここまでくるとSalesforce導入が軌道に乗ってきたと言えるでしょう。
軌道に乗ってきたところで、関係者全員で再確認すべきことも紹介します。
目指す方向を忘れない
入力が面倒でも、入力しない人がいる限りExcelとの二重管理は終わりません。
月1回は振り返りのミーティングを行う
データ活用状況や新規で行いたいことの検討事項を洗い出します。
カスタムオブジェクトを設定した場合はレポート等にしっかり反映されているかも確認しましょう。
追加サービスは軌道に乗ってから
筆者はSalesforceのカスタマーサクセス担当より、MAツールであるPardotを勧められ、社長決済で何の下調べもなく導入されてしまいました。
結果、初期設定に大変手間取り、前のMAシステムの方が良かったと戻すことになりました。
追加サービスの場合もしっかりと下調べを行い、目的に合っているのかを確認して導入を検討しましょう。
できれば商談時、システム担当に双方同席してもらうのも必要だと感じました。
まとめ
ここまで、Salesforceの導入時の設定について、具体例や実際に筆者が体験したことをもとに説明をしてきました。
- SalesforceはSFAとCRMどちらも一元管理できるシステム
- 目指す方向を設定することが大事
- 最初から作り込まず、まずは標準機能で運用までたどり着く
- 作業範囲を明確にする
- カスタマイズや追加サービスは軌道に乗ってから考える
システムについてはいくらでも調べたり、サポートを使うことができますが、意外と難しいのは周りを巻き込むことかもしれません。
この記事が導入検討されている方の一助になれば幸いです。