こんにちは、DX攻略部のヨッシーです。
近年、顧客データの重要性がますます高まっています。顧客データを有効活用することで、顧客満足度向上、売上向上、顧客ロイヤルティ向上など、さまざまな効果が期待できます。
顧客データの活用に有効なのはCDPというツールを活用することが一つの方法です。
しかし、CDPを有効活用するためには、企業にあった構築や導入を進めなければなりません。
そこで今回は、CDP(Customer Data Platform)の構築・導入の進め方について解説していきます。
CDPとは?
CDP(Customer Data Platform)は、顧客に関するあらゆるデータを収集・統合・分析し、顧客一人ひとりに最適なアプローチの方法を導き出す支援をしてくれるマーケティングツールです。
近年、CDPは多くの企業で注目されており、導入企業も増加しています。その理由は、顧客の属性データ、行動データ、購買データなどを統合的に分析することで、顧客一人ひとりのニーズや嗜好をより深く理解できるからです。
CDP導入を検討すべき企業
CDP導入を検討すべき企業は、以下のような企業です。
- 複数のチャネルで顧客と接点を持つ企業
- 顧客データを活用して、顧客満足度向上や売上向上を目指したい企業
- 顧客データを一元管理し、分析したい企業
- 個々の顧客に合わせた最適なマーケティング施策を実行したい企業
具体的には、小売業、アパレル業、食品・飲料業のような業種・業態の企業がCDP導入の恩恵を受けやすいと言われています。
CDP導入のメリットとデメリット
CDP導入のメリット
CDP導入のメリットは以下の通りです。
- 顧客をより深く理解できる
- 顧客体験の向上につながる
- マーケティング施策を効率化できる
- 売上向上につながる
- 顧客ロイヤルティの向上につながる
顧客をより深く理解できる
CDPは、顧客の属性データ、行動データ、購買データなどを統合的に分析することで、顧客一人ひとりのニーズや嗜好をより深く理解できます。
従来のシステムでは把握できなかった顧客全体の行動パターンを把握することができるため、より精度の高い顧客分析が可能になります。
顧客体験を向上できる
顧客を深く理解することで、顧客一人ひとりに最適な商品・サービスを提供したり、顧客のニーズに合致したコミュニケーションを図ったりできます。
これにより、顧客満足度が向上し、顧客体験が向上します。
マーケティング施策を効率化できる
CDPは、顧客データを一元管理することで、マーケティング施策の効率化できます。
顧客データを分析することで、効果の高い施策と効果の低い施策を迅速に判断し、施策の効果測定も容易になります。
売上向上につながる
顧客を深く理解し、顧客体験を向上させることで、顧客満足度が向上し、売上向上につながります。
また、マーケティング施策を効率化することで、無駄なコストを削減し、利益を増加させることができます。
顧客ロイヤルティの向上につながる
顧客を深く理解し、顧客体験を向上させることで、顧客満足度が向上し、顧客ロイヤルティの向上につながります。
顧客ロイヤルティの高い顧客は、リピート購入率が高く、口コミやレビューで商品・サービスを宣伝してくれる可能性が高くなります。
CDP導入のデメリット
CDP導入のデメリットは以下の通りです。
- 導入・ランニングコストがかかる
- データ品質の担保する必要がある
- 人材育成の工数がかかる
- システム連携のための開発が必要となる
導入・ランニングコストがかかる
CDPシステムは、ライセンス料や導入費用、運用費用など、さまざまなコストがかかります。特に、大規模なシステム導入の場合は、数千万円から数億円のコストがかかることもあります。
データ品質の担保する必要がある
CDPシステムは、収集した顧客データを分析することで価値を発揮します。そのため、データの質が低い場合は、分析結果も不正確なものとなります。
人材育成の工数がかかる
CDPシステムを使いこなすためには、データ分析やマーケティングに関する専門知識が必要です。そのため、導入後には社内の担当者を育成する必要があります。
システム連携のための開発が必要となる
CDPシステムは、既存の顧客管理システム (CRM) やマーケティングオートメーション (MA) などのシステムと連携させることで、より効果的に活用することができます。しかし、システム連携には、開発作業が必要となります。
CDP導入前の準備
CDP導入を成功させるためには、事前準備が非常に重要です。以下では、CDP導入前に準備しておくべき5つの項目について説明します。
- 目標設定と要件定義
- 既存システムとの連携
- データガバナンスの構築
- チーム体制の構築
- 予算とスケジュール設定
その①:目標設定と要件定義
まず、CDP導入の目的を明確にし、具体的な目標を設定する必要があります。例えば、「顧客満足度を20%向上させる」「顧客ロイヤルティを15%向上させる」「Webサイトのコンバージョン率を10%向上させる」などです。
目標を設定したら、その目標を達成するために必要な機能や要件を定義する必要があります。具体的には、以下の点を考慮する必要があります。
- 収集・統合したいデータの種類
- 分析したいデータ項目
- 実現したいマーケティング施策
- 必要な機能(顧客プロファイル作成、セグメント作成、レコメンデーション、分析機能など)
その②:既存システムとの連携
CDPは、既存のCRMシステム、MAツール、Web分析ツールなど、さまざまなシステムと連携する必要があります。そのため、導入前に既存システムとの連携要件を整理しておくことが重要です。
具体的には、以下の点を考慮する必要があります。
- 連携するシステムの種類
- 連携するデータ項目
- 連携方法(API連携、データ連携ツールなど)
その③:データガバナンスの構築
CDPには、顧客に関するさまざまなデータを格納するため、データガバナンスの構築が重要です。データガバナンスとは、データの品質、セキュリティ、利用ルールなどを管理する仕組みのことです。
具体的には、以下の点を定める必要があります。
- データの所有者
- データのアクセス権限
- データの品質管理基準
- データのセキュリティ対策
その④:チーム体制の構築
CDP導入には、さまざまな部署の協力が必要です。そのため、CDP導入プロジェクトチームを立ち上げ、各部署から担当者をアサインする必要があります。
チームメンバーには、以下のような役割を担っていただきます。
- プロジェクトリーダー:プロジェクト全体の進捗管理
- システム担当者:CDPシステムの導入・運用
- マーケティング担当者:CDPを活用したマーケティング施策の立案・実行
- データ分析担当者:CDPに格納されたデータの分析
- セキュリティ担当者:CDPのセキュリティ対策
その⑤:予算とスケジュール設定
CDP導入には、ライセンス料、導入コンサルティング費用、システム開発費用、ランニングコストなど費用がかかります。そのため、導入前に予算をしっかりと設定する必要があります。
また、CDP導入には、数ヶ月から1年程度かかる場合もあります。そのため、導入スケジュールも事前に設定しておくことが重要です。
失敗しないCDP構築/導入の手順
CDPは、顧客データを活用して、顧客満足度向上や売上向上を実現できるマーケティングツールです。しかし、CDP導入を失敗してしまうと、投資損失や顧客体験の悪化などのリスクも伴います。
そこで、今回は、失敗しないCDP構築/導入の手順について説明します。
ステップ1:要件定義
CDP導入を成功させるためには、まずCDP導入の目的を明確にし、具体的な目標を設定する必要があります。
例えば、「顧客満足度を20%向上させる」「顧客ロイヤルティを15%向上させる」「Webサイトのコンバージョン率を10%向上させる」などです。
ステップ2:ベンダー選定
CDPには、さまざまなベンダーから多種多様な製品が提供されています。そのため、自社の要件に合致したCDP製品を選ぶことが重要です。
CDP製品を選ぶ際には、以下の点を比較検討する必要があります。
- 機能
- スケーラビリティ
- セキュリティ
- サポート体制
- 価格
また、ベンダーの実績や評判も確認しておくことをおすすめします。
ステップ3:データインテグレーション
CDPには、顧客に関するさまざまなデータを格納するため、既存システムと連携してデータを収集・統合する必要があります。
データインテグレーションには、以下のような方法があります。
- API連携
- データ連携ツール
- バッチ処理
データインテグレーションを行う際には、データの品質と整合性を保つことが重要です。
ステップ4:データガバナンスの構築
データガバナンスとは、データの品質、セキュリティ、利用ルールなどを管理する仕組みのことです。
CDPには、顧客に関するさまざまなデータを格納するため、データガバナンスの構築が重要ですので、所有者、アクセス権限、品質管理基準などを明確に定めておきましょう。
ステップ5:アプリケーション開発
CDPには、顧客プロファイル作成、セグメント作成、レコメンデーション、分析機能など、さまざまな機能が必要です。
これらの機能は、CDP製品に標準搭載されているものもありますが、自社で開発する必要があるものもあります。
ステップ6:テストとデプロイ
CDPを本番環境にデプロイする前に、テスト環境で十分にテストを行う必要があります。テストでは、以下の点を検証する必要があります。
- 機能
- パフォーマンス
- セキュリティ
- データの整合性
テストが完了したら、本番環境にデプロイします。
ステップ7:運用と保守
CDPを導入したら、継続的に運用・保守をしていく必要があります。運用・保守には、以下の作業が含まれます。
- データの更新
- システムの監視
- トラブルシューティング
- セキュリティ対策
よくあるCDP導入の失敗例
CDPは導入を失敗してしまうと、せっかくの投資が無駄になってしまうだけでなく、顧客データの漏洩などのリスクも伴います。
そこで、今回は、よくあるCDP導入の失敗例について3つ紹介します。
目標設定の曖昧さ
CDP導入の目的を明確にし、具体的な目標を設定していないと、導入後の方向性が定まらず、失敗に繋がってしまいます。
例えば、「顧客満足度を向上させる」という目標は曖昧です。
具体的には、「顧客満足度スコアを10%向上させる」「顧客離脱率を5%減少させる」など、定量的な目標を設定する必要があります。
ステークホルダーのコミットメント不足
CDP導入には、経営層、マーケティング部門、IT部門など、さまざまな部署の協力が必要です。しかし、関係部署のコミットメントが得られないと、プロジェクトがうまく進まなくなってしまいます。
CDP導入を成功させるためには、経営層が率先してコミットし、関係部署に協力を呼びかけることが重要です。
データ品質の見落とし
CDPには、顧客に関するさまざまなデータを格納するため、データ品質が非常に重要です。しかし、データ品質を見落としてしまうと、せっかくのCDP導入効果が得られなくなってしまいます。
導入前に、既存データの品質を調査し、必要なデータ項目を洗い出しておくことが重要です。
また、データインテグレーションを行う際には、データの整合性を保つように注意する必要があります。
CDP導入は、顧客データの活用を飛躍的に促進させる強力なツールですが、適切な準備や計画がないまま導入してしまうと、さまざまなリスクが伴います。
上記で紹介したリスクと対策を参考に、慎重にCDP導入を検討し、成功へと導きましょう。
まとめ
今回はCDPの導入に関してまとめてみました。
CDPは、顧客データを活用して、顧客満足度向上や売上向上を実現できるマーケティングツールです。
CDP導入を検討する際には、メリットとデメリットを理解した上で、自社の状況に合致しているかどうかを判断するようにしましょう。
CDP構築/導入は、複雑な作業ですが、今回紹介したステップを順を追って進めることで、失敗のリスクを減らすことができます。
CDP導入を検討している場合は、ぜひこれらのステップを参考にしてみてください。