こんにちは、DX攻略部のmukkukoです。
今回はkintoneの導入時に直面しやすい課題と、その対処法について説明します。
直感的にアプリが作成できて、さまざまな業務改善に活用できるkintone。
基本的な用語の説明や筆者自身の体験談も交えながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
kintoneとはどんなシステム?何ができる?
まず、今回ご紹介するkintoneとはどのようなシステムなのでしょうか。
サイボウズ公式Webページでは、「プログラミングの知識がなくても、ノーコードで業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれるクラウドサービス」と説明されています。
『kintoneを導入するメリット』
- 直感的な操作でアプリを開発できる
- 自由度が高く、顧客管理・案件管理・日報だけでなく企業独自のアプリを自作できる
- コメントやスペース機能で社内コミュニケーションが取れる
上記のような特徴があります、一つずつ確認していきましょう。
直感的な操作でアプリを開発できる
kintoneを導入するメリットのひとつは直感的な操作でのアプリ開発ができることです。
業務改善システム導入において、企業によっては課題として「システム担当がいない」と挙げられることがあります。
大企業であればシステム部があり、任せれば対応してもらえることもあるかと思いますが、中堅企業やスタートアップ企業ではなかなか知識豊富なシステム担当を置けないということも多いでしょう。
kintoneはアイコンをドラッグ&ドロップで設置したり、サンプルのアプリをコピーして自社に合うように作り変えることができます。
システム担当がいないような企業では、複雑な設定なしでアプリの開発や設定ができることは大きなメリットと言えますね。
顧客管理・案件管理・日報だけでなく企業独自のアプリを自作できる
次に、業務改善のために企業独自のアプリを自作できることもメリットのひとつです。
一般的には業務改善アプリというと、「顧客や案件管理・日報・社内申請」といった機能を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
kintoneはアプリの自由度が高く、会社独自のさまざまなアプリを作ることができます。
活用事例には下記のようなものもあり、開発に慣れてくると「ないならばアプリを作ればいい」という発想で情報を一元化していくことができるようになるでしょう。
- 空港での迷子情報共有
- 採用面接の管理
- 建築工事の進捗報告・管理
- 工程管理
【体験談】派遣会社での面談レポート事例
ここで、筆者が以前勤めていた派遣会社での事例を紹介します。
まずは「取引先データ」「従業員データ」「日報」のアプリを作り、ルックアップという機能で連携をさせました。
(ここも標準アプリがあるので、参照して作るのでそこまでの手間はありません)
そして、以下の手順で担当者に登録してもらうようにしました。
- 「従業員データ」に氏名登録する際に「取引先データ」からルックアップ機能で派遣就業先を選択する
- 面談を行った際には日報に「従業員データ」からルックアップ機能で社員の名前を選択する
- 上と同じく日報で「取引先データ」からルックアップで派遣就業先を選択する
この取り組みでできるようになったのは以下の項目です。
- 「従業員データ」からその社員の面談履歴や異動履歴を追うことができる
- 「取引先データ」から現在その企業に派遣されている社員を追うことができる
- 「日報」から従業員データにも取引先データにも飛ぶことができる
こうして、営業担当の記憶や人事部保管の紙の資料から引っ張り出していたデータを一元化することに成功しました。
kintoneを導入する前に意識すること
ここまではkintoneのメリット・活用事例を紹介してきました。
自由度が高く使いやすいシステムなのは理解いただけたかと思いますが、導入する前にしっかり理解して意識すべきことがあります。
順番にご紹介していきます。
kintoneの不得意分野を知る
kintoneには不得意な分野もあります。
導入前に把握して、「これができないなんて…」とがっかりすることのないように確認しておきましょう。
『kintoneの不得意分野』
- 添付ファイルに制限(1GB)があり、資料の保管には向かない
- 個人データも制限あり(5GB)
- 会計や経理システムは単独では機能が充実していない
- アプリ内のデザインはシンプル
活用のイメージとしては、「文字や数字のデータ」をkintoneで管理することを心掛けるとよいかもしれません。
最初の目標を絞る
kintoneはカスタマイズ性が高いからこそ、あれもこれも、とやりたいことだけが膨らみ導入直後からアプリが乱立して活用まで辿り着けなくなるパターンもあります。
まずは導入する前に活用する目標を3つ程度に絞るとよいでしょう。
以下はひとつの例ですが、まずは標準機能で実現できそうなことから始めてみることをお勧めします。
- 営業の日報をExcelから移管する
- 営業の売上登録・管理を旧システムから移管する
- 取引先管理をExcelから移管する
初めに決めた目標が達成できたら、また次に実現したい目標を考えていきましょう。
現場に近い導入担当を決める
kintoneの導入の担当者を決める際は必ず「現場に近い導入担当」を決めるようにしましょう。
説明してきた通り、kintoneはシステム担当でなくてもノーコードでアプリ開発が可能です。
現場に近い導入担当にすると、以下のメリットが挙げられます。
『メリット』
- 実際の業務を知っているため必要事項が事前にわかる
- 入力する側の目線で見るため入力の煩雑さを抑えられる
- どのアプリと連携(ルックアップ)すべきか判断できる
kintoneは改良も簡単なのですが、一度入れたデータの修正は面倒ではあるため、なるべく実務を知る現場の担当者が導入についても主導していくのがよいでしょう。
活用してもらうために必要なこと
せっかく導入しても、活用してもらえないと意味がありません。
例としてよく挙げられるのは「入力が面倒だから」とデータ入力をせず、結局個人でExcel管理してしまったり、報告をメールで済ませてしまうことです。
しっかり入力してもらうために予め以下のようなことを決めておくとよいでしょう。
- 会議資料に必ず活用する
- 日報のメール報告を禁止する
- 不明点はコメント機能で残しておく
「入力しておかないと置いていかれる・自分の評価にならない」という雰囲気作りが非常に大切です。
kintoneの基礎知識を知っておこう
次に、kintoneを導入するにあたって事前に知っておくと便利な、基礎知識である用語の説明をします。
kintone公式の用語集を引用しながら、よりわかりやすく説明していきます。
導入やアプリ開発がスムーズに進むように、しっかり確認していきましょう。
アプリとは
まずは先ほどから説明時使用している「アプリ」について、またアプリに関わる用語を説明します。
まずアプリについて、kintone公式用語集では以下のように説明されています。
レコードとは
kintone公式用語集での説明は以下の通りです。
フィールドとは
kintone公式用語集での説明は以下です。
ルックアップ機能とは
次に、体験談事例でも触れたルックアップ機能を説明します。
kintone用語集では以下のように説明されています。
- 自由記載ではないので、個人の書き方でデータがバラバラになることがなくなる
- 参照したアプリ側でもデータを確認できるため、多角的な視点でデータを確認することができる
スペースとは
kintoneの公式用語集では以下のように説明されています。
プラグインとは
kintoneの公式用語集ではこのように説明されています。
外部サービスとの連携
他のクラウドサービスと連携するサービスです。
代表的なものだと、以下のようなシステムと連携することができます。
- ファイル管理システム
- 名刺管理システム
- 経理システム
その他の用語
その他にも、下記の公式kintone用語集にさまざまな用語が解説されていますので、導入時に確認してみるとよいでしょう。
参考URL:kintone用語集
kintone導入時によくある課題とその対処法
ここで、kintone導入時に出てくる課題やその対処法を筆者の体験を交えながら説明していきます。
システムの使い方に慣れるためのトレーニング不足
システムの使い方についてトレーニングができていないと、なかなか入力をしてくれない・担当者への質問が集中するなどスムーズに進まない場合が多いです。
対処法としては、以下が挙げられます。
- 稼働前にキックオフミーティングなどの入力説明会を行う
- マニュアルを作成してポータルやスペースに置いておく
- プラグインを利用して入力時に注意事項を表示させる
既存業務フローとの不整合
特に、今まで紙やメールでの申請フローをしていた会社で起こりがちなのが、既存フローと整合しないことです。
今までと違って承認者が増えた・省けていた箇所が省けないなど不整合が起こるといつまでも旧式のフローのまま対応してしまう人も出てきてしまいます。
対処法としては以下を試してみましょう。
- メールや電話での旧方式申請受領を禁止する
- 承認者には申請時のスマホ通知・メール通知設定を忘れない
- 条件分岐を利用し、状況に応じて承認ステップを簡略化する
【体験談】新規取引先などのマスタ管理
筆者の体験談もご紹介します。
日報の取引先をルックアップ機能で参照した際に、「取引先が出てこないから書けなかった」と言って入力をスルーされてしまうことがありました。
取引先の追加方法も教えてみたのですが、システムが苦手な方にはどうしても、アプリ間をまたいで登録するのは難しいようでした。
筆者が試した対処法は以下です。
- 「取引先マスタ」「取引先登録申請」アプリを作り、大事なマスタ登録は編集できる人を限定する
- 日報の取引先は必須項目にせず、後から入力できるようにする
- 新規登録だけでなく、変更も「取引先登録申請」を利用する
こうすることで、システムが苦手な担当者は「日報」アプリだけに集中して活動記録を記載することができるようになりました。
運用開始後に新しいアプリを作るときに意識したいこと
ようやく運用できるようになって、各所の要望に応えてさまざまなアプリを開発できるようになってきたところでもポイントがあります。
kintone運用開始後に陥りがちなのが、稼働しているアプリの乱立・作りかけの試用アプリばかりになることです。
利用側も管理側も、散らかっていると使いたくなくなってしまいますよね。
アプリを作るときは下記を意識しましょう。
- 簡単にどんどんアプリを作れるが、作り過ぎない
- 作り始めたら作り切って試用版だらけにしない
- スペースを有効活用し、各チームごとに必須アプリを表示させる
- 改良する際はなるべくタイミングを決めて行い、担当者へ連絡を怠らない
利用側にとっても管理側にとっても整理整頓された使いやすい環境にするために、導入担当も工夫していくようにしましょう。
まとめ
ここまで、kintoneの機能や導入時の課題・対処法などを説明してきました。
この記事をまとめると以下の通りです。
- kintoneはノーコードで、直感的な操作をしながら業務改善アプリを作成できる
- 文字や数字のデータ管理に優れている
- 自由度が高いからこそ、目標を絞ってひとつずつクリアしていくことが大事
- アプリの乱立に注意して、スペースも有効活用してkintone内の整理整頓にも気をつける
- システムが苦手な人のことも考えて、マスタ登録にも申請フローを使うとよい
kintoneは自由度が高いため、慣れてくると自社独自の課題を解決するようなアプリを思いつき、開発していくことができます。
簡単にアプリを作ることができる分、管理面での課題も出てきやすいので、注意しながら導入を進めていきましょう。