こんにちは、DX攻略部のkanoです。
クエリ履歴は、Snowflakeで「何が起きたか」を最短で把握するための入口です。
クエリが遅い、失敗した、コストが増えたといったときに、勘ではなく事実から原因を追えるようになります。
この記事では「クエリ履歴の使い方」をテーマに、Snowsightでの確認手順と、実行状況やコストの兆しを追う実務的な見方をまとめます。
そして、DX攻略部では、Snowflake×Streamlitを活用した統合BI基盤構築支援サービスを行っています。
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クエリ履歴でできることと前提
この章では、クエリ履歴で何が分かり、どこに限界があるかを押さえます。
最初に前提を揃えると、調査や改善の手戻りが減ります。
クエリ履歴とは何か
クエリ履歴は、Snowflake上で実行されたクエリ(SQLなどの実行命令)の記録です。
いつ実行されたか、どれくらい時間がかかったか、成功したか失敗したかといった情報が残ります。
運用の現場では「ログ」として扱うより、「問題解決の台帳」として使うイメージが近いです。
クエリ履歴で分かること(実行状況とコストの手がかり)
クエリ履歴から分かる代表例は、実行時間、開始時刻、実行したユーザーやロール、使ったウェアハウス、成功/失敗の状態です。
コストについては、クエリ単体の請求額がそのまま出るというより、「どのウェアハウスが忙しくなっているか」「重いクエリが増えていないか」という手がかりをつかむ用途で使います。
特に、急に遅くなったクエリや、短時間に大量実行されたクエリは、コスト増の兆しになりやすいです。
権限と見える範囲(自分だけか、全体も見えるか)
つまずきやすいのが権限です。
自分が実行したクエリだけ見えるのか、チーム全体の履歴まで見えるのかで、調査の進め方が変わります。
まずは「自分の履歴が見えるか」を確認し、次に「運用担当として全体を見たい」場合は、管理者に必要なロールや権限を相談しましょう。
履歴が見えない状態だと、問題が起きても証拠が追えず、復旧が遅れます。
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Snowsightでクエリ履歴を確認する手順
この章では、画面の開き方から、絞り込み、1件の深掘りまでを最短ルートで整理します。
慣れると、調査の初動時間が大きく短縮できます。
クエリ履歴の画面にたどり着く方法
Snowsightにログインしたら、左側メニューから「アクティビティ」系の項目に入り、「クエリ履歴」を開く流れが基本です。
表示名称は環境で変わることがありますが、「アクティビティ」「履歴」「QueryHistory」などの言葉が目印になります。
見つからない場合は、ワークシート(SQLを実行する画面)周辺に履歴への導線があることも多いので、まずは「履歴に入れれば勝ち」と割り切って探すのがコツです。
フィルタで絞り込むコツ(期間、ユーザー、ロール、ウェアハウス)
クエリ履歴は、絞らないと情報量が多すぎます。
最初は、期間を短くし、問題が起きた時間帯に寄せましょう。
次に、ユーザーやロール、ウェアハウスで絞ると、原因に近づきます。
実務では「まずウェアハウスで絞る」が効果的で、ウェアハウスは用途別に分けられていることが多く、業務の切り分けがしやすいからです。
次にユーザーやロールに降りると、連絡先と初動対応が決まります。
1件を深掘りして見るポイント(実行時間、スキャン量、失敗理由)
1件を開いたら、まず実行時間を見て、異常に長いかを確認します。
次に、どのウェアハウスを使ったかを見て、環境や用途の当たりを付けます。
失敗している場合は、失敗理由を読むだけで解決の方向性が見えることがあります。
権限不足、オブジェクトが見つからない、タイムアウトなど、原因が明確なパターンも多いです。
コスト観点では、短時間に大量実行されていないか、重い処理が集中していないかを確認すると、増加の兆しに気づきやすくなります。
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コストを追うための実務的な見方
この章では、クエリ履歴を使って「コスト増の原因を疑う順番」をまとめます。
コストは一気に最適化しようとせず、火元を潰す順で進めましょう。
まずはウェアハウス別に増加を探す
コストが増えたと感じたら、最初に疑うのはウェアハウスです。
ウェアハウスは計算リソースなので、動いている時間が増えるほどクレジット消費も増えやすくなります。
クエリ履歴で、特定ウェアハウスの実行が急増していないか、ピーク時間帯が変わっていないかを見ます。
ここで当たりがつくと、後の調査が一気に楽になります。
高コストクエリを見つけて優先度を付ける
次に、重いクエリを上位から潰しますが、すべてを改善する必要はありません。
実行時間が長い、失敗が繰り返されている、同じクエリが短時間に何度も走っている、といったものから着手すると効果が出やすいです。
応急対応としては、対象期間を絞る、不要な列を減らす、実行頻度を落とすなどが現実的です。
恒久対応は、集計の事前計算や、ダッシュボード更新頻度の見直しなどに広げていきます。
バッチ、ダッシュボード、手動分析を切り分ける
コストを追う際は、実行の性質で切り分けると整理が進みます。
バッチ(定期処理)は夜間集中しやすく、ダッシュボードは朝や会議前に集中しやすいです。
手動分析は特定ユーザーに偏ることがあります。
この切り分けができると、対策も変わります。
バッチなら実行タイミングと並列性、ダッシュボードなら更新頻度とキャッシュ、手動分析ならガイドラインと権限設計が効きます。
まずは種類を分けて、手を打ちやすい領域から改善しましょう。
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Snowflakeならではのメリット
この章では、クエリ履歴の情報を「改善」に結びつけやすい理由を整理します。
履歴を見たあとに、具体策へ移りやすいことが運用上の強みになります。
履歴とウェアハウス運用をつなげて改善しやすい
クエリ履歴で、どのウェアハウスが使われたかまで追えるため、「原因の切り分け」と「対策の適用先」が一致しやすいです。
例えば、特定ウェアハウスだけが重いなら、そこだけサイズや設定を見直す判断ができます。
全体を一律に絞るより、影響範囲を限定して最適化できる点が、運用の現場では助かります。
自動中断などのガードレールに落とし込みやすい
Snowflakeは、ウェアハウスに自動中断(AUTO_SUSPEND)などの設定を置けます。
履歴で「使いっぱなし」が見えたら、設定変更で再発を防ぎやすいのが利点です。
運用ルールを口約束にせず、仕組みとして守れる状態にすると、チームが増えても破綻しにくくなります。
権限設計で監査と運用を両立しやすい
クエリ履歴は便利ですが、見せすぎると情報統制の課題も出ます。
SnowflakeはRBAC(ロールベースアクセス制御:役割に権限を付与する仕組み)で、見える範囲を設計しやすい点が特徴です。
運用担当は調査できるようにしつつ、一般ユーザーには必要最小限にする、といったバランスを取りやすいのは、監査要件がある企業では特に価値があります。
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よくあるつまずきと対処
この章では、クエリ履歴がうまく使えないときの対処をまとめます。
原因は「機能の不足」ではなく「前提と運用」の不足であることが多いです。
クエリ履歴が見えないときの確認ポイント
まず、ロールを切り替えていないかを確認しましょう。
ロールが変わると、見える範囲が変わることがあります。
次に、そもそも自分の履歴が出るかを確認し、出ない場合は権限や画面導線の問題を疑います。
自分の履歴は見えるが、全体が見えない場合は、運用担当として必要な権限が不足している可能性が高いです。
履歴が多すぎて追えないときの整理方法
履歴が多いときは、期間を短くし、ウェアハウスで絞り、さらにユーザーやロールで絞る順番が有効です。
また、バッチ用とダッシュボード用のウェアハウスを分けておくと、日常の調査が格段に楽になります。
運用を前提にした分け方をするだけで、履歴のノイズが減ります。
対応が属人化するときの運用テンプレ
属人化を避けるには、調査手順をテンプレ化します。
例えば「時間帯を特定→ウェアハウスで絞る→上位の重いクエリを見る→実行主体に連絡→応急対応→恒久対応を検討」という流れに固定します。
記録も重要で、いつ、何が原因で、何をしたかを残すと、次に同じ事故が起きたときに対応が速くなります。
担当が変わっても運用が回る状態を目指しましょう。
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まとめ
Snowflakeのクエリ履歴の使い方について紹介しました。
クエリ履歴は、Snowflake運用の問題解決を早めるための基本機能です。
まずはSnowsightで履歴に入り、期間、ウェアハウス、ユーザーやロールで絞り込んで、原因の当たりを付けましょう。
コストを追うときは、ウェアハウス別の増加を起点に、重いクエリを上位から潰し、バッチ・ダッシュボード・手動分析に切り分けると進めやすくなります。
履歴を見て終わりにせず、自動中断などの設定や運用テンプレに落とし込むことで、再発防止までつなげられます。
Snowflakeの導入前に「コストが高くなりそう」と心配している方は、クエリ履歴があるので安心して導入を検討してみてください。
Snowflakeの導入を検討している方は、DX攻略部で紹介している、その他のSnowflakeの記事も参考にしていただければと思います。
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