こんにちは、DX攻略部のkanoです。
SaaSが増えるほど、データは各ツールに散らばり、同じ顧客を見ているはずなのに数字が揃わない状態が起きがちです。
そこで重要になるのが、Snowflakeを中心にSaaS連携を加速し、分析と施策を一気通貫で回す設計です。
この記事ではSnowflakeとSaaSを連携させることをテーマに、連携で何が変わるのか、方式の選び方、つまずきやすい設計ポイント、活用までつなげる運用をコンパクトにまとめます。
そして、DX攻略部では、Snowflake×Streamlitを活用した統合BI基盤構築支援サービスを行っています。
記事の内容を確認して、Snowflakeを自社に活用してみたいと考えた方は、下記のボタンをクリックしてぜひDX攻略部にご相談ください!
SnowflakeのSaaS連携で何が変わるか
この章では、SaaS連携がなぜ止まりやすいのかを整理し、Snowflakeで何を改善できるかをイメージできるようにします。
日常的にSaaSを活用している企業や今後SaaSの活用を検討している企業はまずここから整理していきましょう。
SaaS連携が遅い組織で起きがちな問題
SaaS連携が遅い企業で起きがちな問題の典型は、部門ごとにSaaSが最適化され、データ定義がバラバラになることです。
マーケはリード、営業は商談、CSは問い合わせを持っているのに、顧客IDが揃わず、同一顧客の行動がつながりません。
その結果、分析に時間がかかり、会議では数字の正しさの議論で終わり、施策の判断が遅れます。
さらに、連携が属人化すると、担当者が変わった瞬間に運用が止まるリスクも増えます。
期待できる効果(売上、コスト、リスク、意思決定スピード)
SaaSデータがつながると、売上面ではパイプラインやアップセルの兆しを早く捉えられます。
コスト面では、施策の重複や無駄な広告投資の見直しが進みやすくなります。
リスク面では、個人情報の扱いを含めて「誰が何を見られるか」を整理しやすくなり、監査対応の説明材料も揃います。
何より、意思決定スピードが上がり、週次で改善が回る状態に近づきます。
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SnowflakeでSaaS連携を加速できる理由(Snowflakeならではのメリット)
この章では、なぜSnowflakeを軸にするとSaaS連携が進みやすいのかを、実務目線で整理します。
データ統合のしやすさ(複数SaaSを同じ土俵で扱える)
複数SaaSをつなぐときに最初に詰まるのは「同じ顧客を同じ顧客として扱えない」問題です。
Snowflake側でデータを集約し、共通の顧客IDや共通の指標定義を作ることで、部門横断の分析が現実になります。
統合の目的は、データを集めること自体ではなく、意思決定に必要な数字を揃えることだと捉えると進めやすいです。
スケールとコストのコントロール(用途別ウェアハウスで最適化)
SaaS連携は、取り込み処理、変換処理、分析処理が同時に走りやすく、負荷が読みにくい領域です。
Snowflakeでは用途別に仮想ウェアハウス(計算リソース)を分けやすく、連携系と分析系の影響を切り分けられます。
加えて、自動中断(AUTO_SUSPEND)などの設定を前提にしておけば、検証時の使いっぱなしを減らしやすく、コスト事故を起こしにくくなります。
ガバナンスを効かせた共有(RBAC、PII(個人を特定できる情報))
SaaS連携が進むほど、個人情報の扱いが難しくなります。
そこで効くのがRBAC(ロールベースアクセス制御:役割に権限を付与する仕組み)です。
部門や役割ごとに見せる範囲を設計し、PII(個人を特定できる情報)は必要最小限の人だけが扱えるようにします。
「活用を進めたい」と「統制を強めたい」は両立しにくい課題ですが、権限設計を先に作ることで、連携のスピードを落とさずに進めやすくなります。
Snowparkやマーケットプレイスなど拡張性(活用まで広げやすい)
SaaS連携は、つないだあとが本番です。
Snowpark(Snowflake上でPythonなどを使って処理を組みやすくする仕組み)を活用すると、特徴量(分析や予測に使う説明変数)づくりやデータ加工を一貫させやすくなります。
また、Snowflakeマーケットプレイスを使えば、外部データやアプリを組み合わせる選択肢も増えます。
連携を「集める」で止めず、「活用して成果を出す」へ広げやすい点が加速につながります。
こんにちは、DX攻略部のkanoです。 「SnowflakeのSnowparkで何ができるの?」 こういった疑問をお持ちではありませんか? Snowflakeには様々な機能が備わっており、1つずつ理解することで活用の幅を広[…]
SaaS連携方式の選び方(最短ルートで決める)
この章では、方式選定で迷いすぎないために、目的から逆算する考え方をまとめます。
最初の選択が合っていると、手戻りが減ります。
ELTで整えるか、iPaaSやAPI連携でつなぐか
分析用途を主目的にするなら、ELT(Extract、Load、Transform:抽出→取り込み→変換)で、まずSnowflakeに集めてから整形する流れが相性良くなりがちです。
データが溜まることで、後から指標や切り口を変えやすくなります。
一方、業務プロセス連携が主目的なら、iPaaS(IntegrationPlatformasaService:SaaS同士をつなぐ連携基盤)やAPI連携で即時性を重視する選択もあります。
ただし、リアルタイムに寄せるほど運用が難しくなるため、最初は「どこまで即時性が必要か」を決めましょう。
ReverseETLまで見据える判断基準
連携を加速させるなら、ReverseETL(分析結果をSaaSへ戻し、現場ツールで使えるようにする考え方)まで視野に入れるのが効果的です。
例えば、解約リスクの高い顧客リストをCRMへ戻す、優先フォロー対象をCSのツールへ戻す、といった使い方です。
判断基準はシンプルで、分析が「見るだけ」で終わっているならReverseETLを検討し、現場のアクションまで到達させる設計にしましょう。
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実装でつまずかない設計ポイント
この章では、SaaS連携で詰まりやすい論点を先に潰します。
ここを押さえると、連携のスピードと品質の両方が上がります。
顧客IDの統一とデータ定義(数字が合う状態を先に作る)
最重要は顧客IDの統一です。
メールアドレス、契約ID、会社IDなどが混在していると、統合は進みません。
まずは「同一顧客判定のルール」を決め、共通の顧客マスターに寄せていきます。
同時に、売上やアクティブなど主要指標の定義も揃えましょう。最初に数字が合う状態を作るほど、後工程の議論が速くなります。
増分取り込み(差分更新)とリカバリ設計
SaaSデータは毎日変わります。
全件取り込みを続けると負荷もコストも増えるため、増分取り込み(差分更新)を基本にします。
ただし、APIの制約や障害で取り込みが欠けることもあるため、リカバリ(再取得)手順もセットで用意しましょう。
欠けた期間だけ再取得できる設計にしておくと、運用が安定します。
コスト事故を防ぐ運用(自動中断、実行頻度、重いクエリ)
連携が加速すると、処理が増えてコストも増えやすくなります。
まずはウェアハウスの自動中断を徹底し、取り込みや変換の実行頻度を業務要件に合わせて決めます。
さらに、重いクエリが定期実行に混ざると、気づかないうちに膨らみます。
定期処理は「どのクエリが」「どの頻度で」「どのウェアハウスで」動くかを一覧化し、変更時に見直す運用が有効です。
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活用までつなげる運用設計
この章では、連携を成果に変えるための運用の作り方を整理します。
つないだだけで終わらせないことが重要です。
まず作るべき指標とダッシュボード(売上、解約、サポート)
最初は、全社で合意しやすい指標から始めましょう。
売上(受注、継続、NRRなど)、解約(解約率、更新率)、サポート(問い合わせ数、未解決の滞留)といった、部門横断で価値が伝わるものが向きます。
施策への接続(アラート、リスト配布、ワークフロー)
分析結果を現場が使う形に落とすと、価値が一気に出ます。
例えば、異常値をアラートで通知する、フォロー対象リストを配布する、ワークフローでタスク化するなどが現実的です。
ReverseETLの発想で「見る」から「動く」へつなげると、SaaS連携のROI(投資対効果)が説明しやすくなります。
データ品質の監視と責任分界(誰が直すか)
運用で最後に効くのが、品質の監視と責任分界です。
欠損、重複、遅延が起きたときに、誰が直すのかが曖昧だと止まります。
最低限、重要テーブルの更新チェックと、異常時の連絡先だけでも決めましょう。
これだけで「気づいたら壊れていた」を減らせます。
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よくある失敗と回避策
この章では、SaaS連携が途中で止まる理由を整理し、回避策を示します。
よくある失敗は、設計で予防できるので事前にしっかりと確認しておきましょう。
連携はできたが使われない(目的と利用者不在)
連携できているのに使われていない状態は、データは集まったのに、誰も見ない状態といえるでしょう。
回避策は、最初に利用者とユースケースを決めることです。
営業が見るのか、CSが使うのか、経営が週次で見るのかを明確にし、その人が使える形(指標、リスト、アラート)に落とします。
定義が揃わず数字が合わない(共通指標不足)
数字が合わないと、会議が止まります。
回避策は、顧客IDと主要指標の定義を先に合意し、変更管理を置くことです。
定義は資料にまとめ、どこで計算されているかを追える状態にしておくと運用が楽になります。
権限とPIIで止まる(早期設計不足)
後から統制を入れようとすると、連携の手戻りが大きくなります。
回避策は、RBACの方針とPIIの扱いを早期に決め、見せる範囲を段階的に広げることです。
最初から全社公開を目指さず、必要な範囲で価値を出しながら広げましょう。
こんにちは、DX攻略部のkanoです。 クラウドDWH(データウェアハウス)やSnowflakeという名前は聞くものの、以下のような悩みや疑問をお持ちではないでしょうか。 「本当に投資する価値があるのか」 「社内のどのシス[…]
相談するなら押さえたい論点
この章では、SaaS連携を短期間で加速したい場合に、相談時に整理しておくと話が早い論点をまとめます。
現状診断で確認するポイント(SaaS構成、目的、体制、権限)
まず、連携対象SaaSと目的(分析、業務連携、施策連動)を整理します。
次に、体制(誰が定義し、誰が運用するか)と、権限(RBAC、PIIの扱い)を確認します。
この4点が揃うと、ツール選びではなく、成果に向けた設計の議論に入れます。
PoCで作る成果物(方式、データモデル、運用、概算コスト)
PoC(概念実証)では、連携方式の選定、データモデル(生データ、整形データ、集計データの分け方)、運用フロー(監視、変更管理、責任分界)、概算コストの見立てまでを成果物にすると、次の投資判断がしやすくなります。
特に、ReverseETLまで含めるかどうかで、価値の出方が変わるため、早めに検討しておくと良いでしょう。
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まとめ
SnowflakeでSaaS連携を加速するには、方式選定より先に「目的」「顧客ID」「指標定義」「権限方針」を揃えることが近道です。
そのうえで、ELTやiPaaS、API連携を目的に合わせて選び、増分取り込みとリカバリ設計で運用を安定させましょう。
最後に、ダッシュボードで終わらせず、アラートやリスト配布など施策へ接続すると、SaaS連携は一気に成果に変わります。
つながるだけでなく、使われ続ける状態を目指して進めていきましょう。
Snowflakeの導入を検討している方は、DX攻略部で紹介している、その他のSnowflakeの記事も参考にしていただければと思います。
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