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Snowflakeを導入する前に知っておきたいこと~クラウドDWHとは

こんにちは、DX攻略部のkanoです。

クラウドDWH(データウェアハウス)やSnowflakeという名前は聞くものの、以下のような悩みや疑問をお持ちではないでしょうか。

「本当に投資する価値があるのか」

「社内のどのシステムにどう影響するのか」

こういった悩みや疑問を抱えたままでは、SnowflakeなどのクラウドDWHを導入しても効果を発揮できない場合があります。

近年はデータ活用が経営課題として語られる一方で、従来型DWHの老朽化やオンプレミス環境の限界、人材不足など、現場はさまざまな制約を抱えています

本記事では、クラウドDWHの基本からSnowflakeの特徴までを、技術詳細に踏み込みすぎず、投資判断の観点から整理します。

クラウドDWHの「違い」と「使いどころ」を押さえたうえで、Snowflake導入の是非を検討する材料として活用いただくことを目的としています。

そして、DX攻略部では、Snowflake×Streamlitを活用した統合BI基盤構築支援サービスを行っています。

記事の内容を確認して、Snowflakeを自社に活用してみたいと考えた方は、下記のボタンをクリックしてぜひDX攻略部にご相談ください!

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クラウドDWHとは何か

最初にクラウドDWHというものが、どういったものなのかについて解説します。

従来型オンプレDWHとの違いやクラウドDWHが注目される背景について確認してください。

クラウドDWHの概要

クラウドDWHは、データウェアハウスの機能をクラウド上で提供するサービスです。

自社でサーバーを購入・構築・運用するのではなく、クラウド事業者やSnowflakeのようなSaaSベンダーが用意した基盤を利用し、必要な分だけデータを蓄積・分析します。

「会計システム」「SFA/CRM」「生産管理」「Web行動ログ」などバラバラに存在するデータを集約し、経営レポートやダッシュボード、AI分析などの基盤として機能するのがDWHです。

クラウドDWHのサイクル

そのDWHをクラウドで利用する形態がクラウドDWHであり、初期投資の抑制、拡張性の高さ、短期間での立ち上げといったメリットがあります。

従来型オンプレDWHとの違い

従来型オンプレDWHは、自社データセンターやホスティング環境にサーバーやストレージを構築し、数年先を見越したスペックで投資するのが一般的でした。

このため「最初に大きく投資する」「スペックを上げ下げしづらい」「保守やパッチ適用など運用作業が多い」といった課題がありました。

クラウドDWHでは、これらのハードウェア管理はクラウド側に任せられます。

利用者は容量や処理性能を必要に応じて変更でき、使った分だけの料金を支払います。

また、最新機能やセキュリティ更新もサービス側で随時反映されるため、自社でバージョンアッププロジェクトを走らせる必要がありません。

筆者
Snowflakeのように完全なSaaSとして提供されるDWHは、インフラ運用負荷を大きく減らせる点が特徴です。

クラウドDWHが注目される背景(データ量・スピード・コスト)

クラウドDWHがここ数年で一気に注目されている背景には、主に三つの要因があります。

一つ目はデータ量の急増です。

IoTやWebサービス、SaaSの普及により、従来のDWH前提では想定していなかった規模のデータを扱う必要が出てきました。

二つ目は意思決定スピードの要求水準が上がっていることです。

月次決算だけでなく、日次・時間単位での売上・在庫・顧客行動を把握し、マーケティングやオペレーションを素早く調整する必要があります。

三つ目はコスト構造の見直しです。

オンプレDWHはピークに合わせて設備を持つため「普段は余っているサーバー」にも固定費がかかります。

クラウドDWHであれば、必要なときだけ処理リソースを増やし、不要になれば減らすことができるため、ビジネス側の変動に合わせたITコスト管理がしやすくなります。

  1. データ量の急増
  2. 意思決定スピードの要求水準が上がっている
  3. コスト構造の見直し

クラウドDWHの基本アーキテクチャ

多くのクラウドDWHは、「ストレージ(データの保存)」「コンピュート(データ処理)」「管理・制御のサービス層」という三層構造を採用しています。

特にSnowflakeは、ストレージとコンピュートを完全に分離したアーキテクチャが特徴です。

Marketplace

この構造により、データはクラウドストレージに低コストで蓄積しつつ、クエリ処理に必要なコンピュートだけをオンデマンドで起動できます。

また、メタデータ管理や認証、クエリ最適化などはサービス層として共通化されるため、セキュリティやチューニングを統一的に扱えるようになっています。

結果として、利用者はハードウェア構成ではなく「どのデータをどう分析するか」に集中できるようになります。

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意思決定者が押さえるべきクラウドDWHの評価ポイント

クラウドDWHの選定は、単なるIT製品の比較ではなく「どのような経営課題を、どの期間とコスト感で解決したいのか」を軸に考える必要があります。

Snowflakeを含むクラウドDWHを比較するための、「どのKPIが改善されるのか」「3〜5年スパンでの総コストはどうか」「社内の人材・体制で運用可能か」といった観点を整理していきましょう。

ビジネス成果に直結するのはどのKPIか

まず決めるべきは「この投資によって何を改善したいのか」です。

例えば、次のようなKPIがクラウドDWH投資の成果指標としてよく設定されます。

  • 経営・事業レポート作成にかかるリードタイム(日数から時間への短縮)

  • 営業・マーケティング施策のPDCAサイクルの期間

  • 在庫過多や欠品の発生率

  • 顧客離脱率やLTV(顧客生涯価値)

Snowflakeは大量データの高速集計や多部門同時アクセスに強く、これらのKPI改善に寄与しやすいアーキテクチャです。

筆者
導入前に「どの部門のどの指標を、どれくらい改善したいのか」を合意しておくことで、後から投資対効果を説明しやすくなります。

コスト構造(初期費用・運用費用・人件費)の見方

クラウドDWHのコストは「初期構築費用」「月々の利用料」「運用・保守の工数(人件費)」に分けて整理すると分かりやすくなります。

Snowflakeの場合、初期費用は比較的抑えやすく、データ量に応じたストレージ課金と、クエリ処理に応じたコンピュート課金が中心になります。

意思決定者としては、単月の料金だけでなく、以下の観点で比較することが重要です。

  • 3〜5年で見た総コスト(TCO)

  • オンプレDWH更新やハード更新と比べた場合の差額

  • 自社でチューニング・運用する場合と、SaaSで任せる場合の人件費の違い

Snowflakeのように自動スケーリングや運用自動化が進んだクラウドDWHでは、人件費削減や他業務へのシフトも含めて評価する必要があります。

セキュリティ・ガバナンス・コンプライアンスの観点

クラウドDWHは、機密性の高いデータも扱うため、セキュリティとガバナンスは投資判断の重要ポイントです。

Snowflakeは、データ暗号化、アクセス制御、マスキングなどの機能を備えており、金融・ヘルスケアなど高いコンプライアンス要件のある業界でも利用が広がっています

意思決定者としては、次の点を確認しておくと安心です。

  • データが保存されるリージョン(日本国内か海外か)

  • 監査ログや操作履歴をどこまで取得・保存できるか

  • 社内の権限設計ポリシーとどれだけ整合性が取れるか

  • 必要な業界標準や認証への対応状況

これらは情シス部門やセキュリティ部門と連携しながら、早めにチェックしておくべき項目です。

内製か外部パートナー活用かを判断する軸

Snowflakeを含むクラウドDWHは、コンソールから比較的容易に利用を開始できますが、本格導入や周辺システム連携、データモデリングには一定の専門知識が必要です。

自社にDWHやデータエンジニアリングの経験者がどれだけいるかによって、「内製中心で進めるのか」「パートナーと組んで推進するのか」の最適解は変わります。

判断の軸としては、次のようなものがあります。

  • 2〜3年後のデータ人材体制のあるべき姿

  • 内製化したい領域(要件定義・データモデリング・運用など)

  • パートナーに委託したい領域と予算感

  • 社内に残したいノウハウと、外部に任せてもよい作業の線引き

Snowflakeは日本国内でもパートナーエコシステムが広がっているため、自社の状況に合った支援を組み合わせやすい点も意思決定上のポイントになります。

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Snowflakeの基本コンセプトとクラウドDWHとしての位置づけ

Snowflakeは、クラウドネイティブに設計されたSaaS型のクラウドDWHです。

従来型DWHや他のクラウドDWHと比較した際のSnowflakeの位置づけを理解しておくことで、「なぜSnowflakeなのか」を確認しましょう。

マルチクラウド対応とSaaS型の特徴

Snowflakeは、AWS、Azure、Google Cloud上で同じユーザー体験を提供するマルチクラウド対応のサービスです。

特定クラウドベンダーへのロックインを避けたい企業や、すでに複数クラウドを利用している企業にとって、インフラ戦略との整合性を取りやすい点が大きなメリットです。

また、SnowflakeはSaaS型として提供され、インフラの構築・メンテナンス、ソフトウェアのバージョン管理などはSnowflake側が担います。

ユーザー側はブラウザやクライアントツールから接続し、すぐにデータのロード・分析を開始できます。

SnowflakeのマルチクラウドとSaaSの特徴

これにより、IT部門はサーバー運用ではなく、データガバナンスや全社データ戦略にリソースを振り向けられるようになります

ストレージとコンピューティング分離のメリット

Snowflakeの最大の特徴の一つが、ストレージとコンピュートを完全に分離したアーキテクチャです。

データはクラウドストレージに集約して保存し、分析やバッチ処理の際にだけ、必要な規模のコンピュート(仮想ウェアハウス)を起動します。

この構造により、次のようなメリットが生まれます。

  • 大量データを長期保存しても、ストレージ単価を抑えやすい

  • 月末やキャンペーン期間などピーク時のみコンピュートを増強し、それ以外は小さくできる

  • 部門ごとに異なるコンピュートを用意し、互いのクエリ負荷の影響を受けずに利用できる

結果として、ビジネスの変動に合わせて柔軟にリソースとコストを調整しやすくなります。

セルフサービス分析を支えるユーザー体験

Snowflakeは、SQLベースのクエリを中心に、BIツールやNotebook、ETL/ELTツールなどとの連携を前提に設計されています。

多くの日本企業で利用されているBIツールやデータ連携ツールとも接続実績があり、既存のアナリストやエンジニアが学習コストを抑えて利用できる点も強みです。

また、ユーザーやロールごとの権限管理を細かく設定できるため、「経営企画は詳細データまで参照可能」「現場部門は自部門データのみ閲覧可能」といったセルフサービス分析の基盤をつくりやすくなっています

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SnowflakeならではのクラウドDWHの強み

クラウドDWH全般のメリットに加え、Snowflakeには独自の強みがあります。

特に「スケーリングの柔軟さ」「従量課金とコスト管理のしやすさ」「データ共有機能」「運用自動化」は、意思決定者にとって投資価値を説明しやすいポイントです。

ここでは、Snowflakeならではの特徴を、ビジネス観点から整理します。

スケールアップ・ダウンによる柔軟なパフォーマンス制御

Snowflakeのコンピュート(仮想ウェアハウス)は、数クリックまたはAPIでサイズを変更でき、必要に応じて水平スケールも可能です。

例えば、月末締めや大規模キャンペーン分析など、一時的に高負荷がかかるタイミングだけリソースを増強し、処理が終われば元のサイズに戻すといった運用が容易です。

複数部署が同時にアクセスする場合でも、部門単位で別のウェアハウスを用意することで「他部署の重い集計のせいで、自部署のレポートが遅い」といった事態を避けられます

従量課金モデルとコスト最適化のしやすさ

Snowflakeは、ストレージはデータ量、コンピュートは利用時間と性能クラスに応じた従量課金モデルを採用しています。

利用しない時間帯はウェアハウスを自動停止させておけばコンピュートの課金は発生せず、「24時間サーバーを動かしっぱなし」という状態を避けられます。

また、部門別にウェアハウスやアカウントを分けることで、「マーケティング部門はこの範囲」「EC事業はこの範囲」といった形でコスト配賦することも可能です。

経営管理上、ITコストを部門別に見える化したい企業にとって、説明しやすい構造と言えます。

データ共有・データクリーンルームによる新たな価値創出

Snowflakeの特徴的な機能として、Snowflake間でデータを安全に共有できるデータシェアリングや、プライバシーに配慮したデータクリーンルームの仕組みがあります。

データそのものをコピーせずに共有できるため、グループ会社間やパートナー企業とのコラボレーションにも活用しやすくなっています

これにより、単なる社内データ統合にとどまらず、「パートナーのデータと突き合わせた新たな分析」「共同マーケティングの効果検証」「業界ベンチマークとの比較」といった新しい価値創出の可能性が広がります。

運用負荷の軽減とIT部門の役割変化

SnowflakeはSaaSとして提供され、パッチ適用やバージョンアップ、インデックス設計などの多くの運用作業が不要です。

これにより、IT部門は「サーバーを守る」役割から、「データガバナンスの設計」「全社的なデータ活用推進」といった、より上流の役割にシフトできます。

意思決定者としては、「現行DWHの保守にかかっている工数を、どれだけ戦略的な業務に振り向けられるか」という観点で、Snowflake導入の効果を捉えると評価しやすくなります。

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Snowflake導入を検討する際の社内すり合わせポイント

Snowflakeそのものの機能・コストだけでなく、社内の関係部署との合意形成も成功の鍵です。

経営層、情シス・セキュリティ部門、事業部門など、それぞれが重視するポイントは異なるため、あらかじめ論点を整理しておくことで検討がスムーズになります。

ここでは、主なステークホルダーごとに、確認しておきたいポイントをまとめます。

経営層が確認すべき投資対効果とロードマップ

経営層に対しては、「Snowflakeで何ができるか」よりも「どの経営課題を、いつまでに、どの程度改善できるか」を中心に伝えることが重要です。

  • 1年目に実現する成果(レポートリードタイム短縮、見える化の範囲拡大など)
  • 2〜3年目以降の発展(高度分析やAI活用、データ共有ビジネスなど)

  • 3〜5年の投資総額と、既存基盤を維持した場合との比較

このような形でロードマップと投資対効果を整理し、「いきなり完璧な基盤を作る」のではなく「段階的にスコープを広げる」方針を示すと合意形成しやすくなります

情シス・セキュリティ部門と合意しておくべき事項

情シスやセキュリティ部門は、Snowflakeが社内のセキュリティポリシーや運用ルールに適合するかを重視します。

  • データ保存リージョンの選定(日本リージョンの有無)

  • IDプロバイダやSSOとの連携方式

  • ネットワーク構成(閉域接続かインターネット経由か)

  • ログ取得・監査の方法と保持期間

技術・運用面の要件を早期に共有し、必要であればSnowflakeやパートナーから情報提供を受けるようにします。

各事業部門・現場にとってのメリットの整理

事業部門や現場のメンバーにとっては、「どの業務が楽になるのか」「自分たちの意思決定がどう良くなるのか」が関心事です。

  • 毎月Excelで作成しているレポートが自動化される

  • 欲しい数字を自分でダッシュボードから確認できる

  • 顧客セグメントやキャンペーン効果を素早く分析できる

具体的なメリットを部門ごとに整理し、PoCやデモで体験してもらうことが重要です。

Snowflakeを基盤として、上に載るBIツールやダッシュボードのイメージも併せて伝えると、導入後の姿を共有しやすくなります。

既存システム・BIツールとの連携方針

Snowflake導入にあたっては、既存のDWHやデータマート、BIツール、業務システムとの関係をどう整理するかも重要な論点です。

  • 既存オンプレDWHを段階的に移行するのか、併用期間を設けるのか

  • 既存BIツールを活かしつつ、データの置き場所だけSnowflakeに変えるのか

  • マスターデータや参照系システムとの同期方法をどう設計するか

移行戦略をあらかじめ描いておくことで、「結局どのシステムを使えばよいのか分からない」といった混乱を避けられます

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まとめ

クラウドDWHは、単に「データをクラウドに移す」ための技術ではなく、意思決定のスピードと質を高めるための経営インフラです。

その中でSnowflakeは、マルチクラウド対応やストレージとコンピュートの分離、データ共有機能などにより、日本企業の多様なニーズに応えやすいプラットフォームとして注目を集めています。

意思決定者としては、機能比較だけに終始するのではなく、「どのKPIをどの期間で改善するのか」「3〜5年でのTCO」「社内体制やパートナーの活用方針」をセットで考えることが重要です。

本記事で整理したクラウドDWHの基本とSnowflakeならではの特徴、社内すり合わせのポイントなどを、自社の現状と将来像に照らして、Snowflake導入を検討する際の土台として活用していただければ幸いです。

Snowflakeの導入を検討している方は、DX攻略部で紹介している、その他のSnowflakeの記事も参考にしていただければと思います。

そして、DX攻略部では、Snowflake×Streamlitを活用した統合BI基盤構築支援サービスを行っていますので、Snowflake導入を検討している企業様はぜひDX攻略部にご相談ください!

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