こんにちは、DX攻略部のラムネです。
最近、DX攻略部のお客様の中でもコンバージョン改善に関するご相談やご依頼が増えてきています。
具体的には「サイト上の特定の条件を満たしたユーザーにポップアップを出したい」「過去に購入履歴のあるユーザーにクーポン画像を表示させたい」など、WEB上のデータを元にユーザーに合わせた訴求を行うマーケティング手法は実際に売上に直結しやすいことからもDX攻略部の中でも特に人気のサービスだったりします。
これらのコンバージョン支援案件でDX攻略部でもよく採用するのが「KARTE(カルテ)」です。
今回、そんなKARTEを提供するPlade社が「KARTE Craft」という新機能を発表したため、現役エンジニアである私がレビューしていきたいと思います。
そもそもKARTE(カルテ)とは?
KARTE(カルテ)とは、ウェブサイト上の訪問者の行動履歴の取得(トラッキング)から分析、施策実行までの支援してくれるマーケティングプラットフォームです。
ユーザー毎にパーソナライズされたCX体験を提供することに重きをおいたサービスを複数提供しており、その中でも「KARTE Web」は特に有名です。
「KARTE Web」では、“シナリオ”と呼ばれるものを作ることができ、そのユーザーの過去の行動履歴をもとに特定のポップアップや広告案内を表示させることで訴求効果を高めてくれます。
KARTEでは「WEB接客」というワードをよく耳にしますが、まさに「WEB上で接客を行いユーザーに顧客体験をしてもらうこと」を実現できます。
基本的な機能やサービス概要については下記記事でも詳しく解説しているので興味がある方は合わせてチェックしてみてください。
こんにちは、DX攻略部です。 今回はWeb接客ツールのKARTEの料金や評判についてお伝えします。 導入時のメリット・デメリットなども徹底解説していますので、ぜひご覧ください。 KARTE(カルテ)とは? KARTEは、株式[…]
KARTEはノーコードでの接客実装も可能!
KARTEの最大の特徴として、ノーコードやローコード開発にも特化している点です。
一般的にWEB上でポップアップなどの施策を行う場合はHTML/CSS/Javascriptといったプログラミング言語を使用し、エンジニアが開発する必要がありますが、KARTEではノーコードでも接客(シナリオ)実装が可能です。
ちなみに、私のようなエンジニアから見てもKARTEで接客を開発できた方が開発工程をかなり省略できるため、結構助かっていたりもします。
KARTE Craftとは?
KARTE Craftとは、リアルタイムに近い形でデータ連携を行い分析や施策実行に移すことができる新機能です。
ここでポイントになってくるのが「リアルタイム」というキーワードです。
従来のKARTEの機能でもBigQueryやSalesforceなどの外部サービスとデータ連携し、そのデータを元にWEB接客(シナリオ)を実行することができましたが、「データ連携→分析→施策実行」の流れに一定の時間差を許容する必要がありました。
より具体的に言えば、ユーザーの現在の行動データをトリガーとして、ほぼリアルタイムに近い形でデータを連携させたり、WEB接客に持っていくことが従来のKARTEではあまり得意ではなかったという背景がありましt。
しかし、今回新しくリリースされたKARTE Craftを活用することで、従来よりもリアルタイムに近いデータ連携や施策実行が可能となり、リアルタイム性の高い施策が実現できるようになり、WEB接客の幅は大きく広がりそうです。
下記画像はKARTEの公式が発表している資料を引用したものですが、チャット送信やLINE送信といったリアルタイム性を重要視するイベント情報をトリガーとして、外部へのデータ転送や施策実行ができることがわかりやすくまとめられています。
※画像引用元:KARTE公式(https://karte.io/)
KARTE Craftで何ができるようになるのか?
この記事を読まれている方の多くは「KARTE Craftって何ができるようになるのか?」が最も気になっているポイントかと思いますので、ここからは「KARTE Craftによって何ができるようになるのか?」を解説していきたいと思います。
できること①:データの収集から分析・施策実行までのスピードが格段にUP!
KARTE Craftでできることの1つ目は、データ収集から接客実行までをほぼリアルタイムで実現できるようになります。
KARTEはサイト上にタグを埋め込んでユーザーの行動履歴を収集し分析するところまでは従来から実現できていましたが、今回のKARTE Craftを使用することで、リアルタイムで集めたデータをその流れで活用することが実現可能となります。
この点はGA4との完全差別化ができている点ですね。
できること②:非同期通信によるリアルタイムデータの反映が可能に!
KARTE Craftでできること2つ目は、非同期通信よるリアルタイムデータの反映が可能になります。
例えば、画面をリロードすることなく下記のようなことが実現できます。
- リアルタイムの訪問者数を接客に表示する
- 外部APIで取得した現在の気温をリアルタイム表示する
- ChatGPTと連携しチャットボットでユーザーからの質問にリアルタイムで回答させたい
今回のKARTE Craftでは、KARTEが提供していない機能を独自に開発できる「Craft Functions」と、Craft Functionsと連携できリアルタイムのデータ操作を得意とする専用データベース「Craft Key-Value Store(Craft KVS)」を使用することができます。
これら2つの機能を組み合わせることによって、外部サービスとの連携や独自機能の実装を行うことができるようになります。
KARTE Craftに含まれる機能一覧まとめ!
ここからはKARTE Craftのパッケージに含まれる機能を1つ1つ解説していければと思います。
Craft Functions
1つ目の機能は、Craft Functionsです。
Craft Functionsとは、KARTEに存在しない機能をユーザー独自に実装することができる機能となっており、KARTE Craftのメイン機能となります。
※画像引用元:KARTE公式(https://karte.io/)
これにより、外部サービスとの連携や非同期通信を利用したリアルタイムデータの接客反映といったことができるようになります。
言語としてはJavaScriptでの開発に対応しており、類似サービスを挙げるならばAWSのLambdaやGCPのCloud Funtionsに設計思想が似ていますね。
Craft Key-Value Store (Craft KVS)
2つ目の機能は、Craft Key-Value Store (Craft KVS)です。
Craft KVSとは、Craft Functions専用のデータベースです。KeyとValueという文字が入っていることからもわかる通り、接客からデータを書き込んだり読み込んだりといったことが可能になります。
※画像引用元:KARTE公式(https://karte.io/)
KARTEの従来からある「アクションテーブル」と似ていますが、今回のCraft KVSでは非同期でのデータやり取りが可能になるため、バックグラウンドでデータをやり取りしリアルタイムにデータを変更することができる点が大きな特徴かと思います。
Craft Secret Manager
3つ目の機能は、Craft Seacret Managerです。
Craft Seacret Managerとは、外部サービスと連携する際に使用するアクセストークンやシークレットトークン(パスワード)などを安全に管理し、必要に応じてCraft Functios上で使用することができる機能です。
※画像引用元:KARTE公式(https://karte.io/)
KARTE Craftのユースケースを現役エンジニアが解説!
さて、ここからはKARTE Craftを使って実現できるユースケースをいくつかご紹介していきたいと思います。
位置情報と天気予報情報を元にしたクーポン発行機能
1つ目のユースケースは、位置情報と天気予報の情報をもとにしたクーポン発行機能です。
こちらの実装案はKARTE公式が出しているものですが、今回のKARTE Craftを利用すれば実現できます。
例えば、位置情報と天気予報の情報は「どこどこJP」とKARTEを連携させれば実現できますので、取得したリアルタイムの情報を元に「雨が降っている地域の飲食店やホテルのクーポンを配布」といったユーザーの現在地や行動を元にしたマーケティング施策などは今後流行りそうです。
ChatGPTを利用したリアルタイムのQ&A回答支援機能
2つ目のユースケースは、ChatGPTを活用したQ&Aのリアルタイム回答支援機能です。
最近SalesforceもEinstein GPTを大々的に発表していますが、Q&Aに回答するカスタマーサポート側の支援として活用できそうです。
例えば、顧客からのお問い合わせに対して、事前にChatGPTで良さげな回答を出しておいてもらい、オペレーターがその回答が適切かを判断した上で回答するといった流れです。
これにより、1つのお問い合わせにかかるオペレーターの対応時間が減少、コスト削減、迅速な回答による顧客満足度の向上などの効果が見込めます。
アンケート回答後にデータ集計した結果をリアルタイム表示機能
3つ目のユースケースは、WEBアンケート回答後に集計結果をリアルタイムで集計しユーザーに表示する機能です。
KARTE Craftを使えばKARTE WEBで作った接客(シナリオ)に表示するデータもリアルタイムで更新をかけることができるため、「アンケート回答後に集計結果をユーザーに即時反映」みたいなことも実現できたりします。
KARTE Craftを導入するメリット・デメリット
ここまでの内容を踏まえて、KARTE Craftを導入するメリットとデメリットについてまとめていきたいと思います。
KARTE Craftを導入するメリット
KARTE Craftを導入するメリットは主に4つあります。
- 今までKARTEになかった機能をユーザー側で開発できる。
- リアルタイム反映を活用したWEB施策が行えるようになる。
- 今まで以上に外部サービスとの連携がしやすくなる。
- WEBデザインを含め開発周りをKARTEの機能だけで完結することができる。
KARTE Craftの最大の特徴はやはりCraft functionsでKARTEに今までなかった機能やサービス連携をユーザーが独自に実装できる点です。
また今回の新機能によりデータのリアルタイム反映ができるようになるため、KARTEで行えるWEB施策の幅も広がることはまず間違ありません。
その他にも、今まで外部サービスやサーバー側で対応する必要があった機能実装をKARTE側に寄せることができるようになるため、データ連携や開発のやりやすさという点でのメリットもあるかと思います。
KARTE Craftを導入するデメリット
KARTE Craftを導入するデメリットは主に2つあります。
- 追加コストがかかる。
- KARTE側で障害発生した際の影響度合いが大きくなる。
KARTE Craftはオプション機能となりますので、別途追加コストが発生します。
またメリットでも挙げたKARTE側に開発を寄せることができるという点について、場合によってはデメリットになるケースもあります。
具体的にはリスクの1つとしてKARTE側で障害が発生した際にはデータ連携やデータのリアルタイム反映が止まってしまう可能性もあることから、今まで以上にKARTEの影響度合いが大きくなります。
特にKARTE Craftで実装する機能というのはコアなもの(サービス運営上、重要性の高いもの)になる可能性が高く、KARTEで完結できるメリットとデメリットの双方を考慮する必要がありそうです。
KARTEの一ユーザーとしては今回の機能はKARTEでやれる幅が広がるという点でかなり期待している一方で、やはりこのあたりのリスクも考慮した上で導入を決定するべきだろうとは思います。
まとめ
ここまでKARTEが発表した新機能「KARTE Craft」についてまとめて参りましたがいかがだったでしょうか。
本記事の要点をまとめると以下の通りです。
- KARTE Craftによりリアルタイム性の高いデータ連携やWEB接客が実現可能に!
- メイン機能「Craft functions」により今までなかった機能をユーザー自ら開発できるようになる!
- 今まで以上に外部サービスとのデータ連携がしやすくなる!
個人的にはKARTEほんとうに使いやすいので今回の機能もかなりワクワクしながらドキュメントを読み漁っていました。笑
近々DX攻略部でもKARTE Craftを使った開発がありそうなので、また実際に触ってみたらその感想やノウハウ周りを記事にしていければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。