こんにちは、DX攻略部のkanoです。
デジタルマーケティングにおけるプライバシー規制の強化やクッキーの制限に対応するため、従来のページビュー中心の計測から「ユーザー行動」をより細やかに捉えるGA4が登場しました。
ウェブだけでなくアプリを含む複数チャネル横断での可視化を実現し、AIによる予測分析まで備えた新時代の分析基盤として注目を集めています。
そんなGA4ですが、必ずしも万能とはいえない部分もあるのは事実です。
本記事では、GA4の強みと弱み、できることやできないことを解説し、その強みと弱みを紹介します。
GA4の導入や活用を検討している、企業のDX化に興味のあるユーザー様はぜひ参考にしてください。
GA4の基本概念
GA4の基本概念について紹介します。
GA4がどのような特徴を持っているのか、その仕組も含めてまとめています。
イベントベースのデータモデル
GA4はページビューだけでなく、ボタンのクリックやスクロール、動画再生など「あらゆるユーザーアクション」をイベントとして計測されます。
標準イベントとカスタムイベントを組み合わせることで、自社に最適化した分析設計が可能です。
ユーザー中心トラッキングとID管理
CookieやデバイスIDに頼らず、ログインIDやGID(Googleシグナル)を活用して同一ユーザーを識別します。
ウェブとアプリ、さらにはオフラインデータとも結びつけて“真の来訪者数”を把握できます。
プライバシー・クッキーレス対応
IPアノニマイズやConsentモードによる同意管理が組み込まれ、Cookieが制限された環境下でも推定値補正でデータ損失を最小化できるのです。
IPアノニマイズとは、ユーザーのIPアドレスをそのまま記録せず、一定の範囲内でぼかしたり切り落としたりすることで、個人を特定できないようにする仕組みです。
これによって、プライバシーを守りつつアクセス情報の収集が可能になります。
Consentモードは、ユーザーが「解析データを使ってもいい」と同意したかどうかを自動で判別し、その結果に応じてデータ収集の方法を切り替えます。
たとえば同意がない場合はCookieを使った追跡を抑え、同意がある場合だけ詳細なデータを取得する、という設定ができます。
Cookie/トラッキングが制限される環境では、本来取得できないはずのデータも「推定値補正」機能で穴埋めします。
具体的には、これまでの傾向や統計モデルを使って欠けた部分を補い、レポートの精度低下をできるだけ防ぐ効果があるのです。
また、欧州(GDPR)や米国カリフォルニア州(CCPA)のプライバシー法に準拠するためのオプションを、管理画面上でシンプルにON/OFFできるようになりました。
複雑なプログラム修正をせずに、法令に合った設定変更が行えます。
最新アップデートのポイント(2024–2025年)
2024年以降は、サーバーサイド計測テンプレートの標準化、Looker Studioでのダッシュボード共有機能強化、GTMとの連携テンプレート拡充などがリリースされています。
タグ管理がより簡単になり、BigQueryエクスポート自動化の設定も画面内で完結できるようになりました。
んにちは、DX攻略部のkanoです。 GA4やGTMについて調べていると、「Looker Studio」という言葉を目にすることはありませんか? 「GA4やGTMの扱いになれてきたけど、さらに新しい機能を使うのは大変そう」と感じ[…]
GA4の強み(できること)
GA4の強みとして、でできることを説明します。
GA4の強みを理解することで、自社のどのような部分にその機能を活かせるか検討しやすくなります。
柔軟なカスタムイベント&自動計測機能
Google Tag Managerを使えば、コード不要でクリックやスクロールなどのカスタムイベントを容易に設定可能です。
自動計測機能も標準で豊富にそろい、最初のタグ実装がスムーズになり、非エンジニアでもデータ取得・解析がやりやすくなります。
AI予測指標(購買見込み・離脱予測など)
機械学習モデルにより、今後のコンバージョン確率や離脱率を自動算出できます。
初心者でも「どのユーザーを重点的にリマーケティングすべきか」が一目でわかります。
マルチプラットフォーム横断レポート
ウェブ、iOS、Androidといった複数チャネルを1つのプロパティで管理します。
チャネルごとの貢献度を比較し、最適な予算配分やCVR改善施策の検討が可能です。
Looker Studio/BigQuery連携強化
GA4のデータをLooker Studioと連携させれば、レポート作成が高速化できます。
その他では、BigQueryへの一括エクスポート機能もGUIで設定でき、SQLを書かずにデータウェアハウス活用を開始できる点も大きなメリットです。
んにちは、DX攻略部のkanoです。 GA4やGTMについて調べていると、「Looker Studio」という言葉を目にすることはありませんか? 「GA4やGTMの扱いになれてきたけど、さらに新しい機能を使うのは大変そう」と感じ[…]
拡張コンバージョンと広告チャネル分析
広告のクリック後のカスタム要素(フォーム送信や電話発信)を自動的にコンバージョンに取り込み、Google広告やYouTube広告との連携精度を向上させられる点も魅力です。
サーバーサイド実装とデータ整合性
サーバーサイドタグを併用すれば、ブラウザ側のブロッカーやネットワーク遅延の影響を回避できます。
より正確なデータ取得でレポートの信頼性が高まる点も注目のポイントといえるでしょう。
GA4の弱み(できないこと)
有益な機能が多いGA4ですが、すべての機能が盛り込まれているわけではありません。
GA4を使っていくうえでは、できないことについても把握し、弱みをカバーするような施策も取り入れていきましょう。
リアルタイムレポートの遅延・集計制限
リアルタイム表示に2~3分程度の遅延があり、大量トラフィック時はサンプリングがかかる場合があります。
データ保持期間の上限
ユーザーレベルデータは最大14か月までで、長期トレンド分析にはBigQueryエクスポートが必須です。
レガシー指標(PV/セッション)の直接参照不可
UAで馴染みのあった「ページビュー数」、「セッション数」がGA4では推奨指標として扱われず、計算レポートで都度設定する必要があります。
一部サードパーティ連携・API制限
一部ツールとは連携テンプレートが未提供です。
APIコール率にも制限があり、大量データ抽出時は注意してください。
活用のポイント&回避策
GA4を効率的に活用するためのポイントと、トラブルを回避するための方法についてまとめました。
GA4を導入する際の参考にしましょう。
イベント命名規則とタグ設計の最適化
「category」、「action」、「label」など命名規則をチームで統一し、GTM上でテンプレート化することをおすすめします。
このことで、勝手な命名による混乱を防ぎ、分析効率が向上します。
また、命名規則に関する情報をまとめて管理しておくことで、引き継ぎする際もスムーズになります。
データ品質チェックとデバッグ(DebugView/Tag Assistant)
新規タグ実装時はDebugViewでリアルタイム検証しましょう。
Tag Assistantを使ったクロスブラウザ検証で、本番リリース前に不具合を潰します。
デバッグビューについては下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
こんにちは、DX攻略部のkanoです。 GA4を導入すると、さまざまなデータを確認できるようになります。 しかし、GA4のデータを解析するうえで以下のような疑問を持ったことはありませんか?」 「GA4のデータにクエリってあ[…]
BigQueryを使った補完分析手法
無料版の集計制限を超える分析は、BigQueryにエクスポート後にSQLで自由に集計しましょう。
この方法を取り入れることで、社内データとの結合分析も容易になります。
レポート自動化・アラート設定の活用
定期的なデータ異常を検知するアラートを設定できます。
Looker Studioのスケジュール配信機能と組み合わせれば、手動更新の手間を大幅に削減でき、業務効率につながるのでおすすめです。
導入前の準備と運用設計
GA4の導入をスムーズに行うためには、事前準備と運用設計を行っておくことが重要になります。
どのような点に注意して準備すればいいか確認していきましょう。
計測要件定義ワークショップの進め方
事業KPIから逆算し、必要なイベントを洗い出すワークショップを開催しましょう。
- ECサイト:月間売上高、転換率(CVR)、客単価、リピート率
- SaaS :間継続課金収益(MRR)、チャーン率、LTV、CAC
- メディア:月間PV数、UU数、直帰率、平均滞在時間
- 広告代理店:広告ROI、CPA、CTR、インプレッション数
- BtoB営業:アポイント数、成約率、リード獲得数、受注単価
GTMの役割分担もここで明確化します。
こんにちは、DX攻略部のなおぴーです。 オウンドメディアを運営している企業で、KPIを設定していないという企業がいましたら要注意! KPIを設定していないと、せっかく工数をかけて運営しているオウンドメディアの成功率が下がってしま[…]
社内トレーニングと運用フロー整備
マーケターや開発者向けのハンズオン研修を実施し、レポート作成・タグ更新のフローをドキュメント化しておきましょう。
GA4の知識を身につける方法として、実際に操作するだけでなく、Google SkillShopを活用することもおすすめです。
GA4のGoogleアナリティクス認定資格を取得できるサービスや、GA4やGoogle広告に関する知識を学べます。
プライバシー/同意管理設計
Cookie同意バナーやCMPツールとの連携設計を事前に決定しておきましょう。
Consentモードで同意状態に応じた計測制御を組み込みます。
今後の展望
GA4を導入後の展望も検討しておきましょう。
GA4は導入しただけで終わりではなく、より自社に合わせてカスタマイズしていくことで、マーケティングに活用できます。
今後予定されるアップデート予測
GA4は定期的にアップデートが行われており、UA時代にあった機能が復活するなど、ユーザービリティの改善が実施されています。
たとえば、UA時代に時代にあってGA4登場当初に省かれていた「メモ機能」が復活した、ということもあるのです。
また、マルチチャネルオーディエンス機能の強化や、コンバージョン予測モデルの精度向上がロードマップに挙がっており、さらなるAI連携が期待されます。
さまざまな分野でAIが活躍していますが、GoogleはGeminiはもちろん、GA4にもそういったAIの技術が活用されているようです。
こんにちは、DX攻略部のkanoです。 GA4(Google Analytics 4)は、Webサイトやアプリのユーザー行動を総合的に計測・分析してくれるツールです。 GA4は使い込めば使い込むほど、さまざまな機能を発見できる面[…]
GA4データ活用の次のステップ
社内CRMやBIツールとのデータ統合、セルフサービス分析環境の構築で、データドリブン文化を醸成しましょう。
データドリブンについては下記の記事で詳しく解説しています。
こんにちは、DX攻略部のくろさきです。 近年、ビジネスの現場では「データドリブン」という言葉が頻繁に使われるようになりました。 これは、経験や勘だけでなく、収集したデータをもとに意思決定を行う手法を指します。 従来の直感に[…]
企業分析体制への組み込み方
分析チームを中心に「GA4 × BI × CRM」の3層構造を設計することが重要です。
定期的な分析レビュー会を通じて、現場への施策反映を加速させます。
まとめ
GA4は初心者でもGTMと組み合わせることで、コード知識がなくても高度なイベント計測が可能です。
プライバシー対応やAI予測といった最新機能を活用しつつ、BigQuery連携やアラート設定で弱点を補完すれば、組織全体でのデータドリブン化を確実に推進できます。
まずはワークショップで要件を整理し、小規模なテスト実装からスタートしてみましょう。
これにより、スムーズな本格導入と運用定着が期待できます。
DX攻略部では、GA4やGTMに関する情報を発信するだけでなく、各企業様に合わせたマーケティング施策のご相談を受け付けています。
GA4やGTMの導入など自社の目的に合わせた設定方法にお悩みの方は、ぜひDX攻略部にご相談ください!