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SnowflakeのMarketplaceとは何か—仕組みとできることをやさしく解説

こんにちは、DX攻略部のkanoです。

「SnowflakeのMarketplaceって何?」

「どうやって使うの?」

Snowflakeについて調べていると、こういったSnowflakeのMarketplaceに関する疑問を抱く方が多いかもしれません。

本記事では、こういった疑問を解決するためにMarketplaceの仕組みとできることをやさしく整理し、導入手順や運用の勘所、失敗しない評価ポイントまで順番に解説します。

Snowflakeの活用の幅を広げたい方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

そして、DX攻略部では、Snowflake×Streamlitを活用した統合BI基盤構築支援サービスを行っています。

記事の内容を確認して、Snowflakeを自社に活用してみたいと考えた方は、下記のボタンをクリックしてぜひDX攻略部にご相談ください!

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Marketplaceの基本

Marketplaceの目的と全体像、データシェアとの関係を整理し、なぜDXの初速を上げられるのかを説明します。

Marketplaceの目的と全体像

MarketplaceはSnowflake内でデータや機能やアプリを探して契約し、そのまま自アカウントで利用開始するための公式カタログです。

Marketplaceのトップ画面

※本記事に掲載されているSnowflake画面は、サンプル用に用意したアカウントを使用し、Snowflakeサンプルデータを使用したものを掲載しています。

契約後はコピーせず参照でき、権限や監査はSnowflake標準で一元管理されます。

何が入手できるか

Marketplaceで入手できるのは主に3系統です。

データリスティングはテーブルやセキュアビュー、機能リスティングはUDFや外部関数、アプリリスティングはSnowflakeNativeAppとして機能を提供します。

それぞれの詳しい内容を確認していきましょう。

データリスティング(テーブルやセキュアビュー)

データリスティングは外部のデータセットをコピーせず参照できる提供形態です。

多くはテーブルやセキュアビュー(権限制御を強化したビュー)として共有されます。

典型ジャンルは、地理統計や企業属性、決済動向、広告指標、天候、モビリティ、リスク指標などです。

筆者
セキュアビューとは、ビューに追加のセキュリティ属性を付け、共有時の露出を最小化する仕組みのことです。

機能リスティング(UDFや外部関数)

機能リスティングはUDF(ユーザー定義関数)やUDTF(テーブル関数)、外部関数(Snowflake外のAPIを呼び出す関数)として機能を再利用できる形で提供されます。

データを動かさずSQLから呼べるのが利点です。

典型ユースケースは、住所正規化、IPジオロケーション、テキスト分類、スコアリング、ID解決、データ品質検査などが定番といえるでしょう。

筆者
UDF/UDTFは、UDFは1行を1値に、UDTFは1行を複数行に展開する関数で、分析や整形の共通ロジックを部品化できます。

アプリリスティング(SnowflakeNativeApp)

アプリリスティングはSnowflakeNativeAppとして、自アカウント内にアプリ本体をデプロイして利用します。

SnowflakeNativeAppは、Snowflake内で動く配布可能なアプリで、アカウント内にデプロイされ、ロールに従って安全に実行されます。

データの所在を動かさず、アプリ側が権限の範囲内で処理します。

典型ユースケースは、データ品質ダッシュボード、リネージ可視化、ガバナンス補助、特徴量管理、マーケ計測、需要予測テンプレートなどです。

データシェアとの関係

データシェアは特定相手への直接共有です。

Marketplaceは「見つける申請する契約する使う」をカタログ化し、新規調達や拡販に向いた導線を提供します。

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Marketplaceに関わる役割について

SnowflakeのMarketplaceに関わる三者の役割と責任境界を、実務で迷わない粒度まで整理します。

誰が何を持ち、どの順番で連携すればスムーズに導入できるかが具体的に分かります。

あわせて成果指標(KPI)やチェックリスト、よくある落とし穴も提示します。

プロバイダー

プロバイダーは「価値ある提供物を継続的に安全に届ける」責任を持ちます。

  • 品質管理と更新運用(更新頻度、遅延目安、欠損ルール、非互換変更の抑制)

  • スキーマ方針とバージョニング(追加互換を基本、変更時は事前通知と移行猶予)

  • セキュリティと公開範囲(セキュアビュー、行列制御、公開・限定公開・プライベートの選択)

  • ドキュメントとサンプル(列定義、由来、既知の限界、代表クエリ)

  • 価格と契約(無償・従量・定額、トライアル、解約条件)

  • サポート体制(問い合わせ窓口、SLA、障害連絡フロー)

提供物はデータリスティング、機能リスティング(UDFや外部関数など)、アプリリスティング(SnowflakeNativeApp)です。

成果指標の例として、契約件数と継続率、更新遅延のSLA準拠率、問い合わせ一次応答時間、非互換変更ゼロ継続日数、解約理由の内訳改善が挙げられます。

コンシューマー

コンシューマーは「安全に早く価値を引き出す」責任を持ちます。

  • 要件定義(目的、粒度、地域、更新頻度、許容遅延、法令順守)

  • リスティング選定(スキーマの分かりやすさ、SLA、サンプルの充実、サポート体制)

  • 検証と受け入れ(代表クエリで品質・コスト・レイテンシを確認)

  • 権限設計と配布(ビュー経由の最小権限、ロール分離)

  • 運用監視(クエリ履歴と利用量の可視化、リソースモニター活用、月次棚卸し)

選定から検証、本番運用までの型を作ると社内展開が安定します。

受け入れチェックリストとして設定したいのは、目的に合う列と粒度があるか、更新の遅延指標が公開されているか、欠損と外れ値の方針が明確かなどです。

Snowflakeの役割

Snowflakeは「安全に共有・配布し、監査可能に使える土台」を担います。

ここを理解すると、ベンダー責任と利用者責任の線引きが明確になります。

  • データシェアとリスティング配布の仕組み(コピーしない共有、契約と接続の導線)

  • 権限管理(RBAC)、セキュアビュー、行・列制御、タグと自動分類

  • 監査と可観測性(クエリ履歴、アクセス履歴、使用量の可視化)

  • クリーンルーム(プライバシー配慮の共同分析)、SnowflakeNativeApp(アプリ配布)

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公開範囲と提供形態

こではMarketplaceの「誰に」「どこで」「どんな前提で」提供するかを設計します。

具体的には公開範囲の選び方、地域やクラウドの制約の扱い、試用やサンプルの設計を順に整理します。

ここを先に決めておくと、販売や導入のスピードと安全性が大きく変わるのでチェックしておきましょう。

公開と限定公開とプライベート

公開範囲はリーチとリスクのトレードオフです。

  • 公開: 誰でも申請可能。最大リーチだが問い合わせ対応や監査の体制が必要。

  • 限定公開: 招待制や特定顧客のみ。早期検証とフィードバック獲得に適する。

  • プライベート: 1対1や特定組織のみ。契約要件が厳しい顧客や実証実験向け。

段階公開を前提に、実装と運用の準備度に応じて広げます。

  1. 品質と更新運用が安定するまで限定公開で運用を固める

  2. サポートSLAと監査ダッシュボードが回り始めたら公開へ拡張

  3. 法規制や個別契約が必要な相手にはプライベートを併用

公開直後に問い合わせが集中して対応が遅延することを避けるために、限定公開の段階でテンプレート回答やFAQを整備してから公開に移行するのがおすすめです。

地域制限とクラウド制約

リージョンやクラウドは規制遵守とユーザー体験を左右します。

  • 配布対象リージョンの範囲(例: 日本国内のみ/アジア太平洋/グローバル)

  • 対応クラウド(例: AWSのみ/複数クラウド)

  • データ所在要件と遅延目標(例: 国内保管必須、P95遅延の目安)

提供側と利用側の整合を設計段階で確認します。

利用が多い地域から優先配布し、問い合わせデータで次の拡張先を決める流れがおすすめです。

トライアルとサンプル

試用やサンプルは評価スピードを決める要素です。

  • 無償トライアル: 本番同等の構造で期間や行数を制限し価値確認を最短化

  • サンプルデータ: 代表的な地域と期間を抜粋し、列定義と想定クエリを付属

  • 評価テンプレート: ダッシュボードやSQLの雛形を同梱し、検証の初速を上げる

検証の前提をそろえ、短期間で「合格/不合格」を判断できる設計にします。

サンプルが小さすぎて再現性が乏しいことがあるため、「直近30日」「主要列のみ」など実運用に近い縮尺で提供すると良いでしょう。

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契約と料金

SnowflakeのMarketplaceにおける料金モデルと請求の流れ、内部配賦、解約時の扱いを解説します。

Marketplaceでは無料のものも多く用意されているので、そういった点も踏まえて確認してきましょう。

料金モデルの基本

Snowflake Marketplaceのリスティング(提供物)は、主に3つの料金モデルから選ばれます。

  • 無償(Free):評価・普及目的。取得してもMarketplaceの請求は発生しません。
  • 使用量ベース(Usage-based):有料データへ実際にアクセス・クエリした量に応じて月次で請求されます。結果0件でもスキャンすれば課金対象です。
  • サブスクリプション(Subscription):期間やアクセス権に応じて定額で請求されます。請求は各期間の開始時に発生します。

プロバイダーは料金プランやオファー(公開/限定公開/個別契約)を組み合わせられ、コンシューマーは要件に合うプランを選択します。

なお、有料リスティングを公開する場合は試用(トライアル)の用意が求められます(Free to try等)。

請求と内部配賦

Marketplaceの請求は、本体(コンピュートやストレージ等)とは分離されています。

請求書の確認・支払いは次の順で行います。

  1. Snowsightにサインイン
  2. 左メニューの管理者を開く
  3. 請求を選択
  4. 画面上部のタブからMarketplaceの請求を選択
  5. コンシューマーの請求を開く
  6. 請求書一覧から対象を選び、必要に応じてPDFをダウンロード/支払いを実行

請求書の画面

上記の画像を参考に請求書を確認していましょう。

また、上記の画面内から支払い方法を選択できるので、支払いに使用するクレジットカードを登録しておきます。

請求は月次発行で、自動支払いに失敗した場合はメールで通知されます。

コストの見える化のためには、以下のような設定を行いましょう。

  • オブジェクトタグ:ウェアハウス/DB/スキーマ等にcost_centerdeptなどのタグを付与し、タグ参照ビューで部門別に集計。タグの継承・自動伝播を活用すると管理が楽になります。

  • QUERY_TAG:ジョブやパイプライン単位でQUERY_TAG='etl_daily'のような識別子を付け、クエリ履歴からコストを切り出してダッシュボード化。

  • 運用の型:毎月、管理者→請求→Marketplaceの請求→コンシューマーの請求でMarketplace請求書を確認し、タグ別の実行コストと突合して配賦台帳を更新。異常な増加はリソースモニターと通知で早期検知します。

解約と停止

Marketplaceの解約や停止は、以下のような形で行います。

  • Usage-based:対象データへのアクセス(クエリ)を止めると以後の利用分は課金されません。不要になった接続はロールから権限を外し、参照クエリを停止します。

  • Subscription:契約期間・プラン条件に従います。更新・解約時期をカレンダー管理し、更新前に利用実績と費用対効果をレビューします。

  • 実施場所:管理者→請求→Marketplaceの請求→コンシューマーの請求から対象を選択し、支払い・キャンセルなどを操作します。

請求に関するチェックリストを作成し、毎月、管理者→請求→Marketplaceの請求→コンシューマーの請求で請求書を確認するという流れにしましょう。

Subscriptionは更新30日前に継続判断、Usage-basedはアクセス停止=コスト停止を徹底すると安全です。

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検索から利用開始まで

ここでは「探す→比較する→契約する→接続する→検証して本番へ」という一連の流れを解説します。

Marketplace導入の段取りと合格基準が準備できるように、評価観点やサンプルSQL、命名規約の例まで具体化していきましょう。

検索と評価のコツ

目的に合うリスティングを短時間で絞るには、検索キーワードと評価軸を最初に決めておくのが近道です。

Marketplace内の画面

例えば、以下のように検索の型を設定してみましょう。

目的語×地域×期間×対象業界でキーワードを作る例
・「需要予測×日本×直近1年×小売」
・「位置情報×関東×日次更新」
・「企業属性×B2B×月次」

絞り込みを行うときは、カテゴリや公開範囲、価格タイプ(無償/試用/有償)、対応クラウドやリージョン、更新頻度と遅延目安、サンプルと代表クエリの有無、スキーマのわかりやすさなどに注目してみてください。

  1. スキーマの可読性と整合性:20

  2. 更新SLAと遅延の開示:20

  3. カバレッジと粒度:15

  4. ドキュメントとサンプルの充実:15

  5. セキュリティと運用方針(非互換変更の扱い、通知方法):15

  6. 価格と試用条件:15

100点満点で3件ほどを採点し、上位1〜2件を検証する形がおすすめです。

契約と接続の手順

契約手順は、社内承認→申請→契約合意→共有接続→ビュー経由で権限配布の順で進めます。

合わせて、続先スキーマや命名規約は事前に決めておきましょう。

初期検証から本番へ

検証スキーマで代表クエリを走らせ、遅延、欠損、重複、粒度、コストを確認し、合格後に本番スキーマへ昇格します。

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トラブルシュートと回避策

導入時に起きがちな問題を「症状→原因→対処」の順で素早く切り分ける型にまとめます。

想定外の停止や不整合の多くは、チェックリスト化と定期点検で未然に防げるのでぜひ参考にしてみてください。

接続と権限

接続と権限に関するトラブルが起きやすいです。

公開範囲と対象リージョンをリスティング説明で再確認し、現在リージョンとアカウントを確認と合っているか確認してください。

SELECT CURRENT_REGION() AS region, CURRENT_ACCOUNT() AS acct;

上記の形で現在リュージョンとアカウントを確認できます。

限定公開は必ず招待リンクで接続し、リージョン不一致なら対応リージョンのリスティングへ切替ましょう。

最小権限で自社ビュー経由の配布を徹底し、規約同意や支払い設定は導入前に完了しておくことも重要です。

スキーマ変更

スキーマは「テーブルの設計図」で、列名、データ型、意味、必須か任意か、などの取り決めを指します。

例:顧客テーブルの設計図=customer_id(数値) name(文字) region(文字) created_at(日時)

スキーマ変更とは、その設計図を後から変えることで、よくある変更は次の通りです。

  • 列を追加する

  • 列を削除する

  • 列名を変える

  • データ型を変える(文字→数値など)

  • 列の意味や値のルールを変える

プロバイダーはデータ品質の改善や列追加で価値を上げ続けます。

その結果、設計図が進化し、利用側のクエリやダッシュボードに影響が出ることがあります。

参照列が見つからない、型不一致でダッシュボードやETLが失敗するといったトラブルです。

-- 現在の列メタデータを取得
SELECT table_name, column_name, data_type
FROM <DB>.INFORMATION_SCHEMA.COLUMNS
WHERE table_schema='<SCHEMA>';

上記のように変更検知用の定期ジョブを用意し、最新スキーマをスナップショットして差分比較しましょう。

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まとめ

SnowflakeのMarketplaceについて紹介しました。

SnowflakeのMarketplaceはデータをコピーせず接続だけで使えるため、同期や重複保管の手間がなく導入が速いのが最大の利点です。

契約から接続までを画面上で完結でき、権限管理や監査もSnowflake標準で一元化されるのでセキュリティ設計の負担を最小化できます。

無償や試用で小さく検証してから本契約へ進め、請求画面で利用状況と費用を可視化できるためコスト管理も明快です。

外データと自社データの連携が短時間で実現し、意思決定やモデル精度の改善に直結しますので、ぜひSnowflakeのMarketplaceを活用してみてください。

そして、DX攻略部では、Snowflake×Streamlitを活用した統合BI基盤構築支援サービスを行っていますので、Snowflake導入を検討している企業様はぜひDX攻略部にご相談ください!

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