こんにちは、DX攻略部のkanoです。
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流において、Webサイトのユーザー行動を可視化し、改善施策に結びつけることは重要な取り組みです。
Microsoft Clarity は無料で使える解析ツールとして注目を集めており、レコーディングやヒートマップを活用して現状把握から改善提案までを一気通貫でサポートします。
本記事では、Clarity の導入から活用ポイント、成功事例までをわかりやすく解説します。
Microsoft Clarityの概要とDX推進企業における価値
最初にMicrosoft Clarityの概要と、そのツールがDX推進企業にどのような価値があるかについて解説します。
Microsoft Clarityとは何か
Microsoft Clarityは、Webサイト上のユーザー行動を無料で可視化できる解析ツールです。
ページごとのクリック数やスクロールの深度をヒートマップで表示できるほか、実際のユーザー操作を録画したセッションリプレイ機能により、ユーザーが迷った箇所や離脱ポイントを直感的に把握できます。
簡単に導入でき、Google Analyticsなど既存ツールとの併用もスムーズなのが特徴です。
DX時代に求められるWeb解析ツールの要件
DX推進企業にとって、Web解析ツールは単にデータを収集するだけでなく、施策立案から効果検証までを強力に支援することが求められます。
リアルタイム性、使いやすい可視化ダッシュボード、多様なチャネルデータとの統合性、そしてプライバシー保護への配慮など、これらを満たすことが、企業の意思決定の迅速化とPDCAサイクルの高速化につながります。
Clarityはこれらの要件を無料で提供し、特に中小企業やスタートアップのDX推進を後押しします。
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導入準備とアカウント設定
Microsoft Clarityの導入準備とアカウント設定について紹介します。
初心者でもわかりやすいようにまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
アカウント作成の手順
最初にMicrosoftアカウントを用意して、Clarityの公式サイトにサインインしていきます。
そして、以下の手順でアカウントを作成しましょう。
- MicrosoftアカウントでClarityの公式サイトにサインイン。
- プロジェクト名と対象ドメインを登録し、新規プロジェクトを作成。
- 発行されたプロジェクトID(トラッキングコード)をコピー。
トラッキングコードの設置方法
続いて、トラッキングコードを設置します。
- Webサイトの全ページの<head>タグ内に、指定のJavaScriptコードを貼り付け。
- CMS(WordPress、Shopifyなど)を利用している場合は、専用プラグインやテーマ編集機能から同様に挿入。
- 正常に動作しているかは、Clarity管理画面の「ステータス」でリアルタイムに確認可能です。
ちなみにこの作業ですが、以下の画面のようにGTMを使ってタグを設置するなど、いろいろな設置方法があるので、使いやすい方法を選んでください。
また、GA4などとも連携できるので、そちらに関してもMicrosoft Clarityの説明画面を参考に進めてください。
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基本操作とダッシュボード活用法
Microsoft Clarityの基本操作とダッシュボードの活用法についてまとめました。
ダッシュボード画面の見方
Clarityのダッシュボードは、訪問数・平均セッション時間・クリック率など主要指標をカード形式で表示します。
上部の期間セレクタで分析対象期間を切り替えられ、異なるチャネルやデバイス別のフィルタリングも可能です。
レコーディング機能について
ダッシュボードの隣りにある、「レコーディング」のタブをクリックすると、ユーザーがあなたのWebサイトをどのように閲覧しているかの録画映像が見れるのです。
このレコーディングでは、ユーザーのマウスやタップの動きがわかるため、ユーザーがどのような形で記事を見たり、どこを選択しているのかがわかります。
ちなみにこの機能は、実際に操作画面を録画しているというわけではなく、ページを読み込んだ際のスマホタップやマウススクロールなどの情報を記録と紐つけて、擬似的に再現している映像になります。
ここで重要なのは、すぐ離脱してしまうユーザーよりも、コンテンツを熟読したユーザーの行動をチェックするようにしましょう。
ユーザーがどういったコンテンツに興味を持って、時間をかけて閲覧してくれるかがわかってくるからです。
その情報をもとに、よりコンテンツを充実したものに仕上げていきましょう。
ヒートマップで読み解くユーザー行動
ヒートマップは「タップ」、「スクロール」、「注意」の3種類を切り替えられます。
ユーザーがサイトのどこをタップ(クリック)しているかを確認でき、スクロールではざっくりとどこまでスクロールしているかを確認できるのです。
このヒートマップを活用することで、離脱ポイントを見つけられるようになります。
また、意図しない場所でクリックが発生していないかを確認する、という使い方もおすすめです。
これらのデータをもとに、どこにCTAを設置するか検討してみましょう。
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データをDX施策に活かすコツ
では、Microsoft ClarityはDX施策にどのように活かせばいいのでしょうか?
DX施策に活かすためのコツを紹介します。
改善サイクルの回し方(PDCA)
データをDX施策に活かすためには、PDCAが重要で以下のような考えに基づいて分析を行います。
Microsoft Clarityの場合は、PDCAを以下のように当てはめましょう。
- Plan:ヒートマップやセッションリプレイで課題を抽出する。
- Do:ABテストやコンテンツの微修正を実施する。
- Check:Clarityで効果を数値と映像で検証します。
- Act:成功施策を本番適用し、次の課題を再抽出します。
たとえば、ヒートマップを確認して、ファーストビュー以降にほとんどのユーザーが到達していない箇所を可視化する、という方法が挙げられます。
離脱ポイントを特定し、なぜここまで読まれないのかについて仮説を立ててみましょう。
そして、仮説を元にテキスト文言やボタンの位置を変更し、A/Bテストを実施してみてください。
その変更によってどのような効果が現れたかを数値化し、効果が出た方法をサイト全体に適用してみましょう。
このMicrosoft Clarityを参考にしたPDCAを繰り返すことで、DX施策を成功に繋げられるようになるのです。
チーム内共有とKPI設定のポイント
データや映像をチームで共有する際は、「誰が」、「いつ」、「何を」、「どのように改善するか」を明文化したKPIシートと合わせてSlackやTeamsに報告しましょう。
Clarityのダッシュボード画面を直接リンクで共有できるため、会議資料の工数も削減できます。
自動レポート機能の活用術
Clarityでは定期レポートをCSVでエクスポート可能で、BIツールと組み合わせれば、ダッシュボード連携や自動グラフ生成も容易です。
週次レポートをチームにメール配信する設定を整え、定点観測を習慣化しましょう。
Microsoft Clarityを活用した事例紹介
Microsoft Clarityを使った事例紹介についてまとめました。
実際に導入してみたいと考えている企業様は、ぜひ参考にしてみてください。
購入フォームの離脱率を改善した事例
Eコマース企業A社は、月間約5万セッションを誇るオンラインストアを運営しており、購入フォームの離脱率が当初45%を超えていました。
特に「郵便番号→住所自動入力」、「電話番号」、「クレジットカード情報」の3項目で入力を断念するユーザーが多く、カゴ落ちが売上の大きなロス要因となっていました。
レコーディング機能で、直帰せずフォーム入力を開始したものの、1ページ目で離脱したセッション確認し、その際の行動をチェックしたのです。
そのときに起きていたトラブルは、住所自動入力ウィジェットが動かず、ユーザーが同じフィールドを何度もクリック、スクロールしているというものでした。
このトラブルが起きた原因は、電話番号欄で「市外局番だけ入力して次に進もうとしている」ケースで、エラー表示がフォーム下部に小さく出るだけで見落とされやすいことが判明したのです。
また、クレジットカード情報入力時にも、カード番号先頭の数字判定エラーが英語表記だったために「何が間違っているか」がわからず離脱しているというものも確認されました。
Microsoft Clarityの機能を使ってこの問題点が発覚し、エラーメッセージを日本語表記にしたり、UI/UXの調整をしたりして、改善施策を実施しています。
改善施策を実施して2週間後には、フォーム離脱率が約30%改善され、コンバージョン率アップにもつながった、という事例があります。
ホワイトペーパーDLページのCVRを改善した事例
BtoBサービスB社は、BtoB向けマーケティング施策の一環としてホワイトペーパーのダウンロードページを運用していましたが、CVR(コンバージョン率)は業界平均を下回る数値に悩んでいました。
主な流入はメルマガ経由やLinkedIn広告で、ビジターは専門性の高いコンテンツを求めているにもかかわらず「DLボタンが見つからない」、「ボタンを押しても反応しない」といった声が散見されていたのです。
そこで、Microsoft Clarityを導入してヒートマップ分析を実施しました。
その結果、クリック分布が本文テキスト周辺に集中し、DLボタン付近はほとんど確認できなかったのです。
また、PCとモバイル別のスクロール震度を確認すると、PCではファーストビュー内に収まっていたが、スマホではDLボタンが画面外で、下までスクロールする訪問者はわずか25%だったことが確認できました。
問題を解決するために、ページ上部に常設ヘッダーバナーを追加し、スクロールしても追従する「浮動ボタン」を実装しました。
また、ボタンのコントラスト変更やラベルを「今すぐ無料でダウンロード」に変更したことで、CVRを改善することに成功しています。
まとめ
Microsoft Clarity を導入すれば、ユーザー行動の“見える化”から改善施策のPDCA運用までを低コストで実現できます。
まずは基本機能を押さえ、得られたデータを社内で共有しながら小さな改善を重ねることが成功の鍵です。
本記事のステップに沿ってClarityを活用し、DX推進の一歩を踏み出しましょう。
そして、DX攻略部では、GA4やGTMを活用したマーケティング施策のご相談を受け付けています。
本記事で紹介したように、ホワイトペーパーのDL率を上げるために、バナーを追加するなどの施策を実施することがあると思います。
そういった場合、「バナーやポップアップ、モーダル広告の導入方法がわからない」といった課題が発生することがあるかもしれません。
このような広告配信に関する悩みや、「GA4やGTMを導入してみたいけど、自社の目的に合わせた設定は難しそう」とお悩みの方は、ぜひDX攻略部にご相談ください!