こんにちは、DX攻略部のkanoです。
ウェブサイトの成果を最大化するうえで、どこからユーザーが訪れているのかを把握することは非常に重要です。
特に、外部サイトや広告、SNSなどを経由して自社サイトへアクセスする「外部流入(リファラー)」の分析は、マーケティング施策の効果検証や集客チャネルの最適化に欠かせません。
本記事では、Google アナリティクス 4(以下GA4)における外部流入の基本的な考え方から、実際にGA4上でどのようにデータを取得し、分析・活用するかをステップごとに解説します。
GA4をまだ使いこなせていない方や、外部流入データの見方に迷っている方はぜひ参考にしてください。
外部流入とは何か?
最初に外部流入とは、いったいどういう概念なのかについて解説します。
外部流入の基本概念
GA4では、「外部流入」とは自社サイト以外のウェブサイトやプラットフォーム(検索エンジン、SNS、他サイトのリンクなど)を経由して訪問者が流入してくることを指します。
UA(ユニバーサルアナリティクス)でいう「リファラー(参照元)」に該当し、どのURLやメディアから訪問が発生したかを計測します。
GA4のレポート上では主に「チャネル」、「デフォルトチャネルグループ」、「参照元/メディア」などのディメンションを用いて外部流入を把握します。
外部流入が高いということは、他の媒体やサイトからの誘導が強いことを意味し、以下のようなビジネスへの効果が期待できます。
- 認知拡大:広告やSNSなどでの露出を通じて、自社ブランドやサービスの認知度向上につながる。
- ターゲット多様化:検索エンジンから来たユーザー、SNS経由のユーザー、他サイトのリンク経由のユーザーでは興味関心や属性が異なるため、幅広い層にアプローチできる。
- 投資対効果の最適化:各外部流入チャネルの成果を計測することで、広告費やプロモーションコストの配分を最適化できる。
- 信頼性・権威性の向上:他サイトからのリンク(特に信頼度の高いメディアや業界関連サイト)を通じた流入は、SEOやブランド価値の向上にも寄与する。
なぜ外部流入を把握するべきか?
外部流入を正しく計測・分析することで、各施策がどれだけのトラフィックや成果をもたらしているかを定量的に把握できます。
その代表的なものと、自社サイトへの集客チャネルを把握すると、得られるメリットについてまとめてみました。。
広告キャンペーン効果の測定
Google 広告やSNS広告を出稿した際、クリック数だけでなく最終的なサイト内流入やコンバージョン(購入・問い合わせなど)に至った割合をGA4で追跡できる。
オーガニック検索との比較
自然検索(Organic Search)経由の流入と、有料広告(Paid Search)やSNS経由の流入を比較し、どちらがコストパフォーマンスに優れているかを見極められる。
有料広告のようなお金をかけるものが必ずしも良い結果につながるとは限りません。
短期的な流入を得られても、そこから継続した流入を得られるようなサイトづくりが必要になってくるといえるでしょう。
オフライン施策の連携
雑誌掲載やテレビCMなどオフラインプロモーションのURLにUTMパラメータを設定すれば、GA4でその流入をトラッキングし、オンラインとオフラインを横断した施策評価が可能。
費用対効果の改善
成果が出ていないチャネルには予算を再配分し、より高効率なチャネルに投資を集中できる。
ユーザーセグメントの発見
特定のサイトやSNS経由で訪問するユーザー層の特徴を把握し、マーケティングターゲットをより適切に設定できる。
競合との差別化
競合があまり力を入れていない外部チャネルを活用することで、競合優位性を築くチャンスが生まれる。
エンゲージメント向上
外部から来たユーザーの行動パターンを解析し、自社サイト内での滞在時間やページビュー数を向上させる施策に活かせる。
従来のUAとの違い
UAはセッションを中心にした計測モデルを採用していましたが、GA4ではイベントを中心とした計測モデルに移行しています。
結果として、GA4では「最初のページビュー」や「クリック」などのイベントが発生したタイミングで「参照元」情報が付与されます。
この違いにより、セッションが切り替わるタイミングや再度訪問した場合の流入計測がUAとは異なる場合があります。
また、UAで利用していた「ソース/メディア」がGA4では「参照元」、「参照メディア」、「参照チャネル」などに細分化され、より細かい粒度で外部流入を把握できます。
GA4で新たに追加された指標やレポートの特徴
GA4は初期設定で「Organic Search」、「Paid Search」、「Social」、「Referral」、「Direct」などのチャネルを自動分類します。
UAでも同様の機能はありましたが、GA4ではさらに「Paid Social」や「Affiliates」などが標準化され、より詳細な分類が可能です。
その他では、GA4には「探索」というカスタムレポート作成機能があり、外部流入の参照元やキャンペーンごとに詳細なデータを自由度高くクロス集計できます。
UAで複数ディメンションを一画面に表示するのが難しかった点が解消され、具体的な流入パターンを迅速に可視化できます。
そして、外部流入チャネルを起点としたユーザーのライフサイクル全体を「ライフサイクル」レポートや「ユーザー属性」レポートと併せて分析できます。
これにより、リピーターやロイヤルユーザーがどのチャネルから来ているかを可視化し、長期的な顧客価値を測ることが容易になりました。
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GA4で外部流入データを確認する方法
GA4を使って、外部流入データを確認する方法について紹介します。
GA4の基本画面構成と外部流入レポートの場所
GA4にログイン後、左側ナビゲーションで「レポート」をクリックし、「ライフサイクル」配下の「集客」セクションを展開すると、主に以下のレポートが表示されます。
- ユーザー獲得(User Acquisition)レポート:サイトに新規訪問したユーザーがどのチャネルや参照元・媒体から来たかを確認できる。
- トラフィック獲得(Traffic Acquisition)レポート:セッション単位での流入元を確認し、流入数やセッション数、コンバージョン数などを一覧表示する。
これらのレポートでは初期状態で「チャネル名」「参照元/メディア」「キャンペーン名」などのディメンションが用意されており、外部流入の状況を俯瞰的に把握できます。
また、探索レポートに移動すれば、自由な組み合わせで外部流入データをカスタマイズして確認できます。
外部流入を絞り込むフィルタ設定
GA4では「デフォルトチャネルグループ」として、訪問を自動的に以下のようなチャネルに分類します。
自然検索は「Organic Search」と表現されることもあり、Googleなどの検索エンジンから流入したユーザーのことです。
有料検索は「Paid Search」のことで、Google広告などで、ソーシャルメディアはX(旧:ツイッター)や、Facebookを意味します。
レポート上で外部流入だけを抽出したい場合、画面上部の「セグメントを追加」や「フィルタ」を使い、「デフォルトチャネルグループが○○に等しい」と設定することで、特定のチャネルのみを絞り込んで表示できます。
UTMパラメータを活用したキャンペーン別集計方法
広告やメールマーケティングの効果測定を行うには、URLにUTMパラメータを付与するのが一般的です。
主なUTMパラメータは以下の通りです。
- utm_source:流入元を示す(例:google、facebook、newsletter)
- utm_medium:媒体を示す(例:cpc、organic、email)
- utm_campaign:キャンペーン名を示す(例:spring_sale、newproduct_launch)
- utm_term:有料検索広告のキーワードを示す(例:keyword1、keyword2)
- utm_content:広告やリンクのバリエーションを区別するパラメータ
GA4の「トラフィック獲得」レポートでディメンションとして「キャンペーン」「参照メディア」「参照ソース」を追加すると、UTMパラメータを基に外部流入を詳細に集計できます。
例えば、utm_source=facebook&utm_medium=cpc&utm_campaign=summer_campaign のURLがあれば、GA4上では「参照ソース=facebook」、「参照メディア=cpc」、「キャンペーン=summer_campaign」として集計されます。
これにより、どの広告コピーやリンクバナーが最も成果を上げているかを比較しやすくなります。
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各種指標の見方と注意点
GA4の各種指標の見方と注意点について紹介します。
「ユーザー」、「セッション」、「コンバージョン数」の関係性
各指標は組み合わせて解釈する必要があります。
その中で、重要な指標について以下についてまとめました。
ユーザー(Users)
GA4では「新規ユーザー」と「既存ユーザー(リピーター)」を合算したユニークユーザー数を指します。
外部流入ごとに「どれだけのユニークユーザーが訪れたか」を把握できます。
セッション(Sessions)
ユーザーがサイトに訪れてから離脱するまでを1セッションとカウントする指標です。
外部流入チャネル別のセッション数で「訪問頻度」や「再訪問の傾向」を確認できます。
コンバージョン数(Conversion Events)
GA4で設定した目標(購入完了、問い合わせ送信など)が達成された回数です。
外部流入経路ごとにどれだけ成果(コンバージョン)に至ったかを測定する基盤となります。
指標を組み合わせて解釈する場合、たとえば、ユーザー数が多くてもコンバージョンに繋がらない場合(質の低いトラフィック)、セッション数が多くてもCV数が伸びない場合(ランディングページの問題やマッチングギャップ)などがあります。
外部流入を評価する際は、数値だけでなく質的指標も含めて総合的に判断しましょう。
セッション継続時間や直帰率など、質的指標の確認ポイント
GA4の質的指標については、以下のようなものが挙げられます。
- 平均エンゲージメント時間(Average Engagement Time):GA4では「ユーザーが実際にフォーカスを当てていた時間」を計測します。外部流入ユーザーがどれだけコンテンツに興味を持っているかを把握しやすく、セッション継続時間よりも正確度が高いとされています。
- エンゲージメント率(Engagement Rate):セッション中にスクロールやクリック、コンバージョンなどのイベントが発生したセッションの割合。外部流入チャネルごとの質を比較する指標として有用です。
- 直帰率(Bounce Rate):GA4では「ユーザーが1つのページで何もアクションしなかったセッション」を指します。外部流入ユーザーの最初に訪れたページでの行動を評価する際に重要です。
質的指標を外部流入チャネルごとに比較することで、どのチャネルのユーザーがより深くサイト内を閲覧しているか、どのチャネルで滞在時間が長いかなどを把握できます。
データ収集におけるラグやサンプリングの有無について
GA4の標準レポートや探索レポートでは、数時間〜最大24時間ほどのラグが発生する場合があります。
特に大量データを扱うサイトでは処理時間がかかるため、最新データを正確に分析したい場合は、夜間や翌日まで待ってから確認するのが安全です。
UAに比べてGA4のサンプリング基準は緩和されましたが、探索レポートで複数ディメンション・セグメントを同時に分析するとサンプリングがかかることがあります。
サンプリングされたレポートでは統計的に推定された数値が表示されるため、正確な数値を把握したい際はディメンションを絞り込むか、BigQueryにエクスポートしてSQLで集計するとよいでしょう。
外部流入データの活用例
外部流入データの見方がわかったら、それをどのようにマーケティングに活かすかについて紹介します。
施策ごとの集客効果比較
施策ごとにどのように集客できているか、その効果を比較するという活用法があります。
その際は、自然検索(Organic)広告(Paid)、ソーシャル(Social)の3つの流入でチェックしましょう。
Organic Search(自然検索)は、SEO施策の成果を測定する指標で、Paid Search(有料検索)はGoogle広告やYahoo!広告などからの流入です。
そして、Social(ソーシャルメディア)はFacebook、Instagram、Twitter、LinkedInなどからの流入になります。
これらの3つのチャンネルをユーザー数、セッション数など同じ指標で比較し、コストやマーケティング奥的に応じて最適な予算配分を検討してみてください。
コンバージョン最適化への応用
以下のような設定を行うことで、コンバージョン最適化への応用が可能になります。
- 探索レポートで外部流入経路をセグメント化
- CVRが高いチャネルの特徴を抽出
- CVRが低いチャネルの改善策を検討
探索レポートで、「参照チャネル」や「参照元/メディア」をディメンションに追加し、指標として「コンバージョンイベント数」「セッション数」を配置します。
さらに「コンバージョン率(コンバージョンイベント数÷セッション数)」を計算列として作成すると、チャネルごとのCVRを一覧で比較できます。
高いCVRを示すチャネルでは、キーワードやクリエイティブ、配信タイミングなどを分析して成功要因を洗い出します。
たとえば、特定のブログ記事からの流入が高いCVRを生んでいる場合は、同様のテーマの記事を増やす施策につなげます。
CVRが低いチャネルでは、ランディングページの訴求がターゲットに合っていない、導線がわかりづらい、フォームが複雑などが考えられます。
GA4の「ランディングページ」レポートと組み合わせて、改善ポイントを把握しましょう。
外部流入ユーザーの「スクロール深度」など定量分析
GA4では「scroll」イベントが自動計測されるため、外部流入ユーザーが最初に訪れたページでスクロールしてくれているかが確認できます。
このスクロールをより細かく調べたい場合は、GTMを使うことでより細かくチェックできるので、こちらもおすすめです。
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外部流入データ活用で陥りがちな落とし穴と対策
GA4の外部流入データを活用する際に気をつけたいポイントを紹介します。
リアルタイム性の限界とレポート更新タイミング
GA4には「リアルタイム」セクションがあり、現在サイトを訪れているユーザー数や直近30分のイベント数などが確認できます。
ただし、最終的に正式に集計されるデータとは若干のズレが生じる場合があるため、リアルタイム数値はあくまで参考値として扱いましょう。
標準レポートや探索レポートは、データ処理の都合上、数時間から最大24時間程度のタイムラグが発生することがあります。
このように、データが反映されるまで少しラグがあるのです。
特に新しくGA4にサイトを連携した場合、さまざまなデータが反映されるまで24時間程度待ってから確認するようにしましょう。
サンプリング発生条件と大規模サイトの対策
GA4では、大量のデータを迅速に表示するために統計的に抽出したサンプルをもとにレポートを作成する場合があります。
このサンプリングがかかると、実際の数値とは異なる推定値が表示される可能性があります。
サンプリングがかかりやすいケースとして、以下のケースが考えられるので参考にしてみてください。
- 探索レポートで複数ディメンションや大きな期間を同時に分析する場合
- セグメントやフィルタを細かく設定しすぎた場合
- 大規模トラフィックを抱えるサイトで過去数か月分以上のデータを一度に期間指定した場合
サンプリングを回避・軽減する方法として、レポートの期間を短く区切ってみましょう。
たとえば、直近30日以内などに制限することで、サンプリングを回避しやすくなります。
また、ディメンションや指標を必要最低限に絞り込んだり、BigQueryにエクスポートし、SQLで生データを集計したりすることでサンプリングされない正確な数値を取得することが可能です。
まとめ
本記事では、GA4における外部流入の基本概念から実際のデータ確認方法、活用例、注意すべきポイントまでを一通り解説しました。
外部流入とは自社サイト以外の検索エンジンやSNS、他サイトのリンクなどを経由して訪問が発生するものであり、GA4では「デフォルトチャネルグループ」や「参照元/メディア」というディメンションを使って計測します。
外部流入を把握することで、マーケティング施策の成果を正確に評価し、投資対効果を最大化できるのがポイントです。
GA4で外部流入を正しく計測し、分析結果を具体的な改善施策や予算配分に結びつける道筋が見えてきます。
ぜひ本記事を参考に、外部流入データをフル活用してウェブサイトの成果向上を実現してください。
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