こんにちは、DX攻略部のmukkukoです。
今回は、Salesforceが描く未来について、次世代技術を活用したCRMの進化の観点から解説します。
現在のSalesforceの利用方法の課題を見つめ直し、活用目的を再確認して、AIなど次世代技術を使いこなせるように準備しましょう。
Salesforceを活用しきれていない組織が多い
まず、Salesforceの未来を解説する前に活用できていない企業や、活用をやめてしまった企業の例をご紹介します。
自社のCRMの活用の本来の目的を再確認し、しっかりとCRMを使えているかを見直しましょう。
Salesforceを活用できない組織とは
まず、Salesforceを活用できなかった失敗例をいくつかご紹介します。
- 導入効果がすぐに出ると考えてしまう
- 導入時の機能説明を全てすぐに実践したいと考えてしまう
- コミュニケーションツールやExcelとの二重管理をやめられない
- 最低限のルールを作らずデータ分析ができない
導入効果がすぐに出ると考えてしまう
失敗例でよくあるケースは、Salesforceの導入効果がすぐ出ると考えてしまうことです。
CRMを活用した業務改善を行えばすぐにコスト削減や売上アップができるわけではありません。
まずシステムが組織に定着するまで3〜6ヶ月程度掛かります。
さらに、数字としての結果が現れるまでは6ヶ月以上の期間をみる必要があります。
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導入時の機能説明を全てすぐに実践したいと考えてしまう
Salesforceは活用実績も多く、導入時のプレゼンテーションで多数の魅力的な機能を説明を受けます。
有効活用している魅力的なプレゼンテーションを見ると、導入直後にあらゆる機能を試そうとしてしまいます。
結果としてなかなか実用に至らず、効果が出ていないと感じて導入を中止してしまう例もあります。
一気に業務改善をしようと考えるのではなく、ひとつずつ課題を解決することが重要です。
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コミュニケーションツールやExcelとの二重管理をやめられない
ツールの二重管理はDXを進める上でよくある課題の一つです。
新規商談の場合には、以下の手順を踏んでいました。
① Salesforce上で取引先情報入力
↓
②Salesforce上で商談内容入力
↓
③チャットツールに取引先のチャンネル作成
↓
④チャットツール上で商談内容入力し上司全員にメンション
コミュニケーションツールやExcelとの二重管理をやめられない理由には主に以下が挙げられます。
『SalesforceとExcelやチャットツールの二重管理をやめられない原因』
- ITツールを使い慣れていないメンバーが多い
- 管理職がCRMの確認をせずチャットでの報告を要求する
- 営業メンバーが自分の営業ノウハウを共有したがらない
様々なITツールの活用はDXへの一歩ですが、同じ業務内容や数値を複数のツールへ入力するのは時間の無駄です。
上司や営業メンバーも含め、CRM活用の目的をしっかりと理解してもらい、効率的に活用しましょう。
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最低限のルールを作らずデータ分析ができない
最低限のルールを作らないとデータ分析ができず、活用しきれなくなります。
CRMは顧客情報を保存したり、日報の役割もありますが、データ分析をしてセールスに繋げなければいけません。
少なくとも以下のような点は先に決めておきましょう。
- 記入形式を決めておく
- 商談の確度を個人の裁量に任せず、客観的な指標を設ける
- 受注結果にかかわらず、データ分析と振り返りを行う
特に、商談の確度を個人の裁量に任せていると、客観的なデータが取れなくなるため注意しましょう。
そもそもCRMの本来の活用目的は?
Salesforceを含め、CRMの本来の活用目的は企業それぞれですが、一般的には以下のような目的で活用する場合が多いです。
- 顧客特性をデータ化し、分析を行い商談成約と売上に繋げる
- ニーズを理解し顧客満足度を高め、解約率を下げる
活用できていない企業は、CRMが上司への報告手段になってしまっている可能性もあります。
上司からの監視機能になってしまうと、マイナスな情報を書かなくなったり、顧客との関係が良好であるように無意識に見せてしまうことがあります。
管理職はCRMへの記載内容と評価は別物として考え、営業メンバーがマイナスな情報を含めて客観的な情報を残せるような工夫が重要です。
対策としては、面談時の顧客評価には定性的な評価よりも定量的な評価基準を多く取り入れることが重要です。
CRMは上司に向けたものではなく、顧客へ向くべきものであることを忘れないようにしましょう。
SalesforceのAI機能とは?
Salesforceは、次世代技術のうちAIを活用したCRMへと進化を続けています。
本章では、現在のAIの状況や今後日本で展開される新しいAIサービスをご紹介します。
CRMの活用目的を再確認した上で、AIを導入すればより効果的なSalesforce活用が可能になるでしょう。
SalesforceのAIの概要とメリット
現在日本でサービス展開をしているSalesforceのAIは『Einstein』です。
予測分析、自然言語処理といった技術を活用してCRMをサポートしています。
現在日本では下記のAI機能があります。
- セールスのためのEinstein for Sales
- カスタマーサービスのためのEinstein for Service
それぞれ簡単に説明します。
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セールスのためのEinstein for Sales
Einstein for Salesは、『Sales Cloud』に搭載される、予測AIや生成AIを活用して営業活動をサポートするAIツールです。
活用すると以下のようなメリットがあります。
『Einstein for Salesの活用メリット』
- 商談のスケジュールを自動化できる
- 商談後のフォローアップをリマインドしてくれる
- 動向や過去の商談から顧客ごとに営業メールを作成してくれる
- 顧客データを元に商談成功の確度を予測できる
- 商談成立に向けて有効な見積金額の提案をしてくれる
詳細は下記の記事を参照してください。
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前章でも述べたように、営業担当者は上司の評価を気にして商談成立の確度を高く見積もってしまうことがあります。
AIを活用すれば、より客観的な顧客分析や予測、アプローチを行うことができます。
カスタマーサービスのためのEinstein for Service
カスタマーサービス向けの『Service Cloud』には、Einstein for ServiceというAIツールがあります。
活用すると以下のようなメリットがあります。
『Einstein for Serviceの活用メリット』
- Einsteinボットで顧客の問い合わせにチャットで自動対応ができる
- メールでの問い合わせにも自動返信や、返信のための文章を作成してくれる
- サービス活用状況を分析し、解約しそうな顧客を洗い出し対策を提案してくれる
顧客からの問い合わせが多く、対応や履歴の保管に多くのリソースを割いてしまっている場合には、活用メリットも大きいでしょう。
今後日本でも展開予定のAIとは?
2024年8月にSalesforceは生成AIを利用した新機能を発表しました。
以下の予定でアメリカで運用を開始し、日本での提供開始は今のところ未定です。
- 2024年10月〜Einstein SDR Agentをアメリカで運用開始
- 2024年10月〜Einstein Sales Coach Agentをアメリカで運用開始
Einstein SDR Agent
Einstein Sales Development Rep Agentの略で、リードからの問い合わせに対して自身で判断をして回答や関連する動きを行います。
RAG(拡張生成機能:回答の精度を向上させる)を用いて、従来よりもさらに高度な問い合わせ対応が可能です。
例えば、下記のような活用例が挙げられます。
- リードから問い合わせを検出
- 問い合わせに回答、返信等やり取り
- 確度が高いと判断した場合には商談設定
問い合わせ対応は早く商談へ繋げた方が確度が高いため、AIでできる限り効率的に対応するのは良い手段です。
Einstein Sales Coach Agent
Einstein Sales Coach Agentを利用すれば、営業担当者のコーチングを生成AIで行うことができます。
RAGを活用して、Salesforceの蓄積情報を元に顧客としての商談のデモンストレーション対応、応答を行います。
さらにフィードバックもAIが導き出すため、客観的に自身のスキルアップが可能です。
営業力強化をしたいと考えている企業は多く、営業担当者の新規開拓能力、プレゼンテーション力や交渉スキルを磨くことができるメリットがあります。
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次世代技術を活用したCRMの未来
SalesforceでのAI活用により、CRMは近い将来さらに進化するでしょう。
顧客ニーズは今後もさらに多様化していきます。
従来は、メールマガジンやSNS・動画での発信など大衆に向けたCRMが多かったものの、次世代技術を活用すれば顧客ごとのCRMを強化できます。
未来のCRMでは、商談メモ代わりではなく、以下のような活用方法が通常となるでしょう。
- 顧客問い合わせ対応の完全自動化
- 顧客ごとに動向を可視化してデータ分析
- 顧客情報に基づきプレゼン資料や議事録を自動作成
- 顧客のフォローアップを自動化し離脱を防止
- VR等を活用した顧客体験型のプロモーション提供
まとめ
本記事では、Salesforceが描く未来について、まずは自社がしっかりとSalesforceを活用できているかを確認しながら、次世代技術を活用したCRMの進化を解説しました。
本記事をまとめると、以下の通りです。
- CRMの活用目的を再確認し、上司への報告ツールだけで終わらせない
- SalesforceではEinsteinというAIを活用してCRMを強化している
- 営業活動の中で、より客観的に判断すべきことはAIに分析・判断させると良い
- SalesforceでのCRMでの次世代技術活用は、『顧客ごとに適切な対応するため』進化している
CRMは導入が目的ではなく、目的のための手段にすぎません。
自社のCRM導入目的を明確化すれば、目的のためにどの機能や必要なのか、AIをどう活用すべきか見えてくるでしょう。
DX攻略部では、Salesforce導入支援サービスをおこなっていますので、ぜひご相談ください。